2017 Fiscal Year Research-status Report
Identification of physiological function of reverse photoreceptor, Opn5L1
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17K15159
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐藤 恵太 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (80725622)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 光受容 / メダカ |
Outline of Annual Research Achievements |
動物の最も重要な光受容機能である視覚の初期過程を担うのはオプシンと呼ばれるタンパク質である。動物においてオプシンは脳や副腎など、網膜以外の組織にも発現しており、非視覚性の光受容を担うと考えられるが、その詳細な機能は不明な点が多い。本研究では、オプシンの中でも特異な性質を示すOpn5L1の機能を明らかにすることを目的としている。材料としてはメダカを用い、まずOpn5L1を発現する神経細胞、さらにその細胞とシナプス結合を作っている細胞を特定するため、遺伝子組み換えメダカを作ることを試みた。メダカのゲノム上からOpn5L1の発現を制御すると考えられる領域を単離することに成功した。この領域の配列と、神経細胞を標識する遺伝子を連結し、メダカゲノムへと組み込むことでOpn5L1が発現する細胞で標識遺伝子が発現するメダカを作製することを試みた。受精直後のメダカ卵に構築した遺伝子を顕微注入し、数日後にゲノムDNAを抽出して遺伝子型解析を行った結果、標識遺伝子がゲノムに挿入されていることを確認した。しかし、顕微注入したメダカ胚の多く(80%以上)は発生途中で死んでしまい、正常に孵化しなかった。最終的に孵化した一部のメダカを生育し、ヒレからゲノムDNAを調製して遺伝子型解析を行なった結果、標識遺伝子がゲノムに挿入されたメダカが得られていないことがわかった。現在、目的の遺伝子組み換えメダカを得るために、ゲノムへの挿入方法や標識遺伝子を変えた実験を計画中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
特異な光反応を示す光受容タンパク質Opn5L1の機能の探索のため、Opn5L1を発現する神経細胞及び、その細胞とシナプス結合を作っている細胞を特定するための遺伝子組み換えメダカを作ることを目標とした。メダカはL1a、L1b、L1cの3種類のOpn5L1をそのゲノム上に持っている。それらの発現を制御すると考えられる、メダカゲノム上の5‘側上流領域をそれぞれ8000, 5000, 5000塩基ずつ単離することに成功した。この配列を用い、経シナプス性トレーサーWGAと蛍光タンパク質GFPを自己開裂性のペプチド配列であるP2Aで連結したものを発現させるべく、遺伝子構築を行った。また同時に実験の陽性対照とすべく、メダカβアクチン上流配列3700塩基を同様にWGA-P2A-P2Aへ連結したものも作製した。トランスポゾンAc/Dsを用いてメダカゲノムへ上記のコンストラクトを導入するため、まずAcトランスポゼースのタンパク質を発現し、精製することを試みた。しかし、精製タンパク質を得るのに十分な量を大腸菌で発現することはできなかった。次にAcトランスポゼースをメダカ胚中で発現させるため、上記のメダカβアクチン上流配列にAcトランスポゼースとGFPを連結したプラスミドを構築した。これを1細胞期のメダカ胚に顕微注入すると、注入から1、2日後にGFPに由来する蛍光を確認することができた。また顕微注入した卵からゲノムDNAを調製し、遺伝子型解析を行った結果、WGAの配列がゲノムに挿入されていることを確認した。しかし、顕微注入したメダカ胚の多く(80%以上)は発生に異常が見られ死亡するなど、正常に孵化しなかった。一部の孵化したメダカを生育し、ヒレからゲノムDNAを調製して遺伝子型解析を行なった。しかし、現在まで目的の配列がゲノムに挿入されたメダカは得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
同時に進行中の他の研究課題において、メダカの標的ゲノム領域に特異的に目的の配列を挿入(ノックインできる)できることがわかってきた。よって、本研究課題においても、トランスポゾンを用いてゲノム中にランダムを配列する方法ではなく、ノックインによって目的の遺伝子改変メダカを作製することを試みる。L1a、L1b、L1cの各Opn5L1のC末端側に、抗体によって各Opn5L1を検出するためのエピトープタグOLLAS、自己開裂性のペプチド配列P2A、及び経シナプス性トレーサーWGAを連結するようノックインを行う。木下らの報告(2017)に基づき、標的とするゲノム領域の5’側上流と3’側下流の各500塩基程度の配列にOLLAS-P2A-WGAを挟み込んだ遺伝子を構築する。これをCas9タンパク質とgRNAと同時に1細胞期のメダカ胚に顕微注入することで、目的のノックインメダカが得られると期待できる。また同様の方法で、メダカに無害な薬剤を細胞傷害性の分子に変換する酵素、ニトロレダクターゼ(Ntr)をWGAの代わりに連結した遺伝子(OLLAS-P2A-Ntr)も構築し、顕微注入してノックインメダカを作製することで、Opn5L1発現細胞を特異的に破壊できるメダカも作製する。
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Research Products
(1 results)