2017 Fiscal Year Research-status Report
複製因子Ctf4タンパク質が複製阻害に伴うDSBを正確に修復する分子機構の解明
Project/Area Number |
17K15160
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 真理子 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (50722013)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | DNA二重鎖切断 / 複製阻害 / Ctf4 / rDNA |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA二重鎖切断(DNA double-strand break, DSB)はDNA複製が阻害された際に頻繁に生じるが、その修復機構はまだ十分に理解されていない。申請者は先行研究において、複製装置の構成因子であるCtf4タンパク質が、複製阻害時にDSB末端の削り込みを抑制しゲノム再編成を引き起こしやすい相同組換えを抑制することを明らかにし、論文発表をした(Sasaki and Kobayashi, Molecular Cell 2017)。本研究ではCtf4タンパク質の作用機構を明らかにすることを目指している。そのために2つの研究目標を設定し、当該年度は以下の実績をあげた。 研究目標1:野生型とctf4変異体においてDSB部位に結合している複製因子及び相同組換え因子の量をクロマチン免疫沈降法によって比較する 先行研究においてCtf4タンパク質は、複製因子をDSB部位につなぎとめることにより相同組換え因子がDSB末端にアクセスすることを防ぐというモデルを提唱した(Sasaki and Kobayashi, Molecular Cell 2017)。このモデルを検証するために、クロマチン免疫沈降法を用いて複製因子や相同組換え因子のDSB部位への結合量を野生型とctf4変異体で比較する。そのために当該年度は、複製因子および相同組換え因子にエピトープタグを付加した株を構築し、クロマチン免疫沈降法の条件検討を行った。 研究目標2:DSB修復に関与するCtf4タンパク質の相互作用因子を同定する Ctf4タンパク質は、DNA代謝の様々な過程で作用する因子と結合することが知られている。どのパートナーとの相互作用が複製阻害時のDSB修復に重要かを調べるため、Ctf4タンパク質の結合パートナー欠損株を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目標1では、クロマチン免疫沈降法を用いて複製因子や相同組換え因子の結合量を野生型とctf4変異体で比較するための実験準備を行った。3つの複製因子および2つの相同組換え因子にエピトープタグを付加した株を構築した。さらに、これらの株においてクロマチン免疫沈降法を行うための条件検討を行った。その結果、最適な培養条件、免疫沈降法条件を見つけることができた。
研究目標2では、Ctf4タンパク質が結合する因子を欠損させた時にctf4変異体と同様のDSB修復異常が起こるかどうかを調べる。そのため、Ctf4の結合パートナーを欠損させた株を構築した。そして、このいくつかの変異体において、DSBアッセイを開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目標1については、野生型とctf4変異体において、タイムコース実験を行いクロマチン免疫沈降を行う予定である。研究目標2については、Ctf4と相互作用すると報告されている因子を欠損させた全ての株においてDSB解析を行う予定である。そしてこれらの結果をまとめて、論文発表を目指す。
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Causes of Carryover |
クロマチン免疫沈降法の条件検討によって、様々な実験過程において使用する試薬の節約を図ることに成功したため、申請額よりも低コストで実験を行うことに成功した。さらに、国際学会に参加する予定であったが、産休育休期間とかさなったため参加をとりやめた。以上の理由から未使用額が生じた。
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