2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K15165
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
土松 隆志 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (60740107)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自殖 / 交配様式 |
Outline of Annual Research Achievements |
自家交配(自殖)の進化は,何度も繰り返し起きた「平行進化」の好例である.繰り返し起きた自殖はどのような遺伝メカニズムによって生じ,いつ進化してきたのか.接合藻類ヒメミカヅキモでは,他殖系統(ヘテロタリック系統)と自殖系統(ホモタリック系統)の進化的移行が種内で少なくとも3回平行的に起きたことが知られている.本研究では,多くのヒメミカヅキモ野生系統を利用し,交配実験・連鎖解析による順遺伝学的なマッピングや比較ゲノム解析を通して自殖遺伝子座を同定することで,独立な自殖系統間で同じ遺伝子座が進化に寄与したのか,異なる遺伝的背景を持つのかを解明することを目的としている.本年度は,野生系統のリシーケンスデータ(Illumina HiSeq 2500/3000)に基づく解析から,ヒメミカヅキモの野生系統間には2倍近くの連続的なゲノムサイズ変異があり,さらに部分重複・欠失などさまざまなゲノム構造変異があることを明らかにした.また,独立に進化したホモタリック系統間の間にもゲノム構成に大きな違いがみられることが明らかになった.現在,リード数を増やしたリシーケンス解析を行っており,今後他殖・自殖系統間のゲノム比較をさらに詳細に行っていく予定である.また,ヘテロタリック・ホモタリック系統間の交配実験を平行して進めている.F1接合子が数系統発芽,増殖しているところであり,今後さらに数を増やして順遺伝学的解析に供する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
比較ゲノム解析,交配実験ともおおむね順調に進んでいる.比較ゲノム解析は共同研究者の助力もえて,さらにリード数を増やした解析も行っているところである.
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Strategy for Future Research Activity |
比較ゲノム解析,交配実験ともおおむね順調に進んでいるものの,比較ゲノム解析からホモタリック系統・ヘテロタリック系統間でゲノム構造変異があることが示唆されており,両者の後代が正常に生育するかはまだ不明である.正常に発生しない場合は交配後隔離があることを意味しており,その表現型観察も詳細に行う予定である.
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Causes of Carryover |
平成29年度はゲノム解析を中心に行っていたこともあり,実験消耗品の使用量が少なかった.平成30年度はこの助成金を実験関係物品を中心に使用する予定である.
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Research Products
(15 results)