2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study on mechanisms of endosymbiont restriction in the kleptoplastic dinoflagellate Nusuttodinium
Project/Area Number |
17K15168
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
大沼 亮 国立遺伝学研究所, 遺伝形質研究系, 特別研究員(PD) (80756825)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 盗葉緑体 / 細胞内共生 / 渦鞭毛藻 / クリプト藻 |
Outline of Annual Research Achievements |
葉緑体は、光合成生物が非光合成生物に取り込まれ、2つの細胞が統合されたことに由来するオルガネラである。しかし、宿主がどのように特定の共生藻と共生確立までの関係を築き、共生成立に至ったのかは未だ解明されていない。この問題を解明するため、クリプト藻を特異的に取り込んで盗葉緑体とする渦鞭毛藻類Nusuttodinium spp.を対象する。これまでの代表者の研究によって、Chroomonas sp. Dc01株を与えたN. aeruginosumでは、盗葉緑体の拡大、クリプト藻核の維持、宿主細胞との同調分裂が起こることを明らかにした。さらに、本種では与えるクリプト藻の種によって盗葉緑体の形状が異なることが示唆されている。本研究では、異なる2種のクリプト藻を与えた時の詳細な形態観察と盗葉緑体現象の差異を生み出す遺伝基盤を明らかにすることで、特定の藻類と共生関係を親密化させる機構を解明することを目的とした。 令和元年度は、トランスクリプトーム解析のための実験系を確立し、Dc01株及びHrL01株を与えたときの渦鞭毛藻+共生クリプト藻のトランスクリプトームと、渦鞭毛藻に取り込まれる前のクリプト藻のトランスクリプトームを取得し、クリプト藻の違いによる宿主渦鞭毛藻のトランスクリプトームの変動、及び取り込まれる前後のクリプト藻のトランスクリプトームを比較した。渦鞭毛藻に取り込まれたChroomonas sp. HrL01では、取り込まれた後に窒素源の取り込みに関する遺伝子群の発現が上昇するのに対し、Dc01では取り込まれる前後でそのような変化が起こらないことが明らかとなった。このことから、渦鞭毛藻に取り込まれたChroomonas sp. HrL01は窒素飢餓状態になっていると示唆された。
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