2022 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on the mechanisms of mouthpart morphological diversification in larval Carabidae (Insecta: Coleoptera)
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17K15171
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
笹川 幸治 千葉大学, 教育学部, 准教授 (30647962)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 食性 / 形態 |
Outline of Annual Research Achievements |
オサムシ科ゴミムシ亜科アオゴミムシ族のスジアオゴミムシ幼虫について、飼育実験による食性の解明と、大顎の比較形態を行なった。本種幼虫は1960年代に飼育実験が試みられたものの、全個体が一齢幼虫で死亡しており、幼虫食性および二齢以降の形態が未解明なままとなっていた。1960年代の飼育実験の際に報告された一齢幼虫の大顎形態に基づいて、「本種幼虫はミミズ食である」との仮説を立てて、ミミズを含む複数の餌種(ミミズ、陸貝類、昆虫幼虫)を実験に用いた。まず、全餌種を用いた選択実験を行ない、その結果にもとづいて、それぞれの餌種候補のみでの飼育実験(非選択実験)を行なった。その結果、予測通り、ミミズのみを餌として受け付け、ミミズのみで成虫まで成長した。得られた二齢および三齢幼虫の大顎を調べたところ、ミミズ食であることが明らかになっている系統的に遠縁な種の幼虫(オサムシ亜科オサムシ属オオオサムシ亜属の種、およびゴミムシ亜科ナガゴミムシ族のオオゴミムシ)と類似した外形を持っていた。その一方で、昆虫幼虫食であることが明らかにされている同じアオゴミムシ属の他の種(アオゴミムシ、オオサカアオゴミムシ等)とは、大顎の外形が明瞭に異なっていた。 昨年度まで行なっていた消化管構造についても追加データを取った。ほとんどの形質において「消化管構造は食性よりも系統性を反映する」という従来の結果を支持するデータが得られたが、一部の形質について、系統性よりも食性を反映している可能性が示唆されるという、新奇なデータが得られた。 また、幼虫の研究を行なううえで大前提となる各種の分類について(オサムシ科は種レベルで分類が未解明なものが多い)、研究を進めていくうえで明らかになった知見についても公表した。
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