2017 Fiscal Year Research-status Report
比較ゲノムを基盤とした自然および人為的サンゴ集団成立機構の解析
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17K15179
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
座安 佑奈 沖縄科学技術大学院大学, マリンゲノミックスユニット, 研究員 (50746691)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | サンゴ / 集団遺伝学 / 遺伝的多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
繰り返す大規模白化によるサンゴ礁の劣化が世界的に問題になっている。サンゴの人為的増殖は有効策の一つとされ、世界中の分布域で取り組まれている。しかし養殖サンゴの遺伝的多様性や、放流効果に関する研究、長期的なモニタリング例は少なく、科学的知見に基づいた指針作りが急がれる。 当該年度は、沖縄本島の2つのサンゴ養殖場から採取したウスエダミドリイシAcropora tenuisのサンプルは、自然状態の南西諸島の15地点と比較して同程度の遺伝的多様性を有し、現状問題はないことを論文発表した。しかしこれ以上クローン群体を増やすことは、将来的に人為的サンゴ群集内の遺伝的多様性の低下を招き、受精率の低下や近交弱勢を招く可能性があるため、現在も行なっている様に番号付きのタグ等でトラッキングすることを推奨する。また対象種は自家受精をしないため、産卵時の受精率をあげるためにクローン群体同士が隣り合わない様な配列にして飼育すること、有性生殖を使用した苗づくりの成功率をあげていくことが不可欠である。 沖縄本島の養殖親集団からの放卵放精も確認されており、周辺海域の幼生供給源になっていることが予測されている。実際に人為的サンゴ群集が幼生供給基地として機能を発揮しているかどうかを調べるために、マイクロサテライトマーカーを用いた親子判定の手法によって、養殖集団と周辺海域のミドリイシ群体の血縁関係の有無を調べることも目的の一つである。当該年度は、恩納村恩納サンゴ養殖場からミドリイシ5種合計90群体から枝片を採取した。そして養殖場周辺の4地点の天然のサンゴ礁域に30m四方の方形区をもうけ、その区画内に生息していたミドリイシ5種の枝片を採取し、採取した全ての群体からDNA抽出をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
沖縄県の一部のサンゴ養殖場において、遺伝的多様性や集団構造を評価し学術論文として公表した。人為的に無性生殖の方法で増やされた群体を明らかにし、今後より簡易に遺伝子型を追跡できるように養殖場にある群体にタグをつけた。また放流効果の推定のため、親集団、周辺の天然集団からのサンプルを採取しDNA抽出をすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
抽出したDNAを用いて親子判定を行う。養殖場から天然群集への幼生加入の有無、放流効果の推定ができると期待される。
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Causes of Carryover |
当該年度前半は、所属機関の規約作成等の理由により、潜水を伴う野外調査が禁止されていたため、サンプルを入手する時期が遅れた。そのため解析に使用するための試薬などを購入する時期を次年度へずらしたため。
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Research Products
(2 results)