2017 Fiscal Year Research-status Report
菌食性昆虫捕食寄生蜂の多様性と寄生蜂-寄主-キノコ相互作用系の解明
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17K15185
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Research Institution | Kanagawa Prefectural Museum of Natural History |
Principal Investigator |
渡辺 恭平 神奈川県立生命の星・地球博物館, 企画情報部, 学芸員 (70710474)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 分類学 / 生物多様性 / 寄生蜂 / キノコ / 寄主 / キノコバエ / アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度はサンプリング、標本調査、分類を実施した。 サンプリングではマレーゼトラップによる収集で数百個体のサンプルを得た。これらは順次標本化をしているところである。キノコから羽化させる実験では、キノコの管理が非常に難しく、腐敗などで失敗する例が多く、うまく管理できても、複数種の双翅目が羽化してしまったため、寄主の絞り込みは成功していない。しかしながら、多少のサンプルを得ることができたため、次年度からは管理しやすいキノコにウェイトを置き、情報を蓄積したい。このほか、シイタケの害虫キノコバエから得られたヒメバチを入手でき、こちらは寄主が判明しているため、現在寄生蜂の種名を検討中である。 標本調査は農業環境技術研究所と首都大学東京で実施し、多数の未同定標本を中心に、借用を行った。 分類はハエヒメバチの一属であるProclitusとシイタケ害虫に寄生する種を中心に行い、前者は学会で発表し、14種を日本からみとめ、うち8種が日本新産、5種が未記載種であり、さらにそのうちの2未記載種は南西諸島から初めて確認されるハエヒメバチであった。この属の検討結果は現在論文化を進めている。後者については3種を確認し、1種は既知種、残りの2種は未記載種であったため、これらも論文化を進めている。これらハエヒメバチのほか、標本調査の副産物でキノコを加害する小蛾類に寄生するチビアメバチ亜科のヒメバチの一属であるLeptocampoplexを日本から新たに発見し、この検討結果は論文として投稿し、Japanese Journal of Systematic Entomology誌に受理され、5月末に出版される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
飼育による寄生蜂の確保や寄主の特定にはやや難儀しているが、新知見は着実に得られており、研究目的や趣旨を考え見てもおおむね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
データの蓄積と並行して、論文化を進める。飼育による確保はキノコの分類群に主眼をおいた選択から、保存性や管理のしやすさに主眼をおいたキノコの選択に変更する。
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Causes of Carryover |
次年度繰越の20,902円については消耗品の購入に充当する。
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Research Products
(9 results)