2017 Fiscal Year Research-status Report
Basic research on investigate light response of stomata in C4 plant
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17K15194
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
Wang Yin 名古屋大学, 高等研究院(WPI), 特任助教 (20725692)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 気孔 / C4植物 / 光応答 / フラべリア |
Outline of Annual Research Achievements |
気孔は2つの孔辺細胞により構成され、主に陸上植物の葉の表皮に存在する小さな穴である。気孔の青色光への応答は、多くのC3 植物において気孔開度を調節するより重要な応答である。しかし、申請者は、C4 植物ではC3 植物で一般に見られる青色光に依存した気孔開口が見られないことを見出した。植物の進化上、C4 植物はC3 植物から進化したと考えられており、青色光応答性の欠損とC4 植物の進化には関連性がある可能性が考えられる。本申請課題では、C4 植物における青色光に依存した気孔開口機能欠損の分子機構を解明することを目的として、様々な研究手法によりC4 植物気孔の特性の解析を行っている。 本年度はまずC4 植物における青色光に依存した気孔開口反応欠損の生理・生化的解析を行った。単子葉と双子葉及びC4 植物の3サブタイプの代表種共計10種類の植物(シロイヌナズナ、イネ、トウモロコシ、ソルガム、ギニアグラス、アマランサス、フラベリア属のC3或はC4 種各2種)を用い、ガス交換システムや単離表皮又は孔辺細胞の免疫染色などの実験手法を行って、C4 植物の特殊的な気孔開口反応と青色光に依存した気孔開口反応欠損の主な原因について詳細的に解析した。さらに、単離したフラベリアのC3 植物とC4 植物の孔辺細胞プロトプラスト用い、遺伝子発現の網羅的比較として次世代シークエンサーを用いたRNAseq を行った。現在、両植物間で発現量の大きく異なる因子の同定を進んでいる。また、同定した一つの候補因子の生理機能を確認し、C4種フラベリアに形質転換用プラスミドの作成を終わった。現在は研究計画の途中段階ではあるが、孔辺細胞に遺伝子発現の異なる因子による網羅的な解析候補因子の機能解析を統合して、C4 植物における青色光に依存した気孔開口機能欠損の分子機構の解明に近づいていると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画として、 (1)C4 植物における青色光に依存した気孔開口反応欠損の生理・生化的解析と(2)C4 植物における青色光に依存した気孔開口機能欠損に関わる因子の同定を立案していた。本年度、(1)について6種類のC4植物と4種類C3植物(対照用)を用いて、単離表皮やガス交換システムの手段を使って、気孔の反応など生理現象を詳細的に調べた。また、免疫染色方法を用いて、C3種とC4種の孔辺細胞において青色光による細胞膜プロトンポンプのリン酸化が観察した。C3植物とC4植物気孔の生理・生化的異なる表現型の解析を終わった。(2)については、以前の予備実験に基づいて、フラベリアの孔辺細胞プロトプラストを大量で単離することは確立した。そして、遺伝子発現の網羅的比較を次世代シークエンサーを用いたRNAseq により3回行った。現在、フラべリアのC3種とC4種両植物間で発現量の大きく異なる因子の同定を進んでいる。つい最近には、同定した一つの候補因子の生理機能を確認し、C4種フラベリアに形質転換用プラスミドの作成を終わった。(1)と(2)の遂行状況を総合的に判断して「おおむね順調に進展している。」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本申請課題を推進するにあたり、まずは当初の研究計画通りに実施する予定である。(1)C4 植物における青色光に依存した気孔開口機能欠損に関わる因子の同定を進む。また、フラベリアのC3 植物とC4 植物の孔辺細胞プロトプラストの総抽出タンパク質、ミクロゾーム画分や細胞質画分を単離し、SDS-PAGE で分離後、網羅的なプロテオーム解析を行い、両植物の孔辺細胞間のタンパク質発現量及び青色光応答に関与するタンパク質量の比較を行う。今後はこの方法から得られた結果と前年度のRNAseqの結果を合わせて、青色光に依存した気孔開口反応の欠損に関する最も可能性の高い因子の絞り込みを行う。(2)同定した因子の青色光に応答した気孔開口における役割の解明については、まず研究協力者関西学院大学の宗景ゆり先生の協力よりC4種フラベリアの形質転換体の作成を確立する。そして、今まで同定した一つの候補因子導入した過剰発現株を作出し、C4種フラベリアの気孔の青色光に対する応答が回復するかどうかを検討する。
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