2019 Fiscal Year Annual Research Report
Eco-Evolutionary feedback of life-history decisions
Project/Area Number |
17K15197
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
立木 佑弥 首都大学東京, 理学研究科, 助教 (40741799)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 代替生活史戦術 / 数理モデル / 進化生態フィードバック / 個体群動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度として、2年目に構築した環境が一方向的に変化する環境下での代替生活史戦術の進化と、個体群動態のカップリングモデルについての理論研究を2報の学術論文としてとりまとめ、現在審査中である。
3年間の研究機関を通して、個体が生活史戦術の意思決定を柔軟に行うことが個体群に波及する効果についての理論構築を行ってきた。闘争などの個体間相互作用の帰結に基づく自身の評価をベイズ推定によりモデリングすることで、個体群内における相対的順位を各個体が学習し、相対的順位に基づいて意思決定を行うていく様を数理的に記述することができた。この定式化によって、各個体の意思決定が個体群に波及する効果についての解析を行うことを可能とし、個体群が環境不確実性に晒された際の応答を定性的に予測する筋道が立った。また、数理的に記述されたことで、adaptive dynamics の枠組みを適用し、その進化について議論することが可能になった。近年、急速に発達してきた、進化生態フィードバックの考えかたに基づいて、環境不確実性が個体群に影響することが、個体の意思決定にどのように作用するのか、また、個体がどのようなルールに基づいて自身の生活史を決定しているのかという意思決定機構が環境不確実性の元でどのように進化するのかという問題に取り組むことが可能になった。 この数理基盤の整備をとおして、気候変動下での水産資源を始めとした生態系サービスの将来予測において、生物が急速に進化しうるという事実を考慮した理論的予測のフレームワークを構築できたことは、本研究の大きな実績である。 また、本研究事業に関連し、新たな共同研究をスタートすることができた。助成機関の3年間にとどまらず、今後の発展的展開が十分に期待できる成果となった。
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