2019 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of terrestrial mushroom assemblages by fungal eDNA analysis in river water
Project/Area Number |
17K15199
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
松岡 俊将 兵庫県立大学, シミュレーション学研究科, 非常勤研究員 (70792828)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 菌類 / 多様性 / DNAメタバーコーディング / 時系列調査 / 環境DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
子実体発生調査結果とDNAメタバーコーディングにより河川水中から菌類 DNA を検出した結果を比較するため、これまでに2年分の子実体発生データと河川水中の菌類DNAデータを取得している。最終年度では、それぞれの手法でどのような菌類が検出され、どのような時間パターンを示すのかの解析と比較を中心に行った。さらに、研究成果の学術論文・学会発表による成果公表を行った。 調査地において月に一度2年間の子実体調査と採水を行った。子実体調査では合計158 OTU(操作的分類群)を検出した。一方で、水中からは合計4388 OTUが検出され、このうち308 OTUが陸生かつ大型の子実体(きのこ)を形成することが知られる分類群に含まれた。このうち82 OTUは子実体調査と水中のDNAの両者から検出され、子実体調査と水中のDNAのみから検出されたOTUはそれぞれ76 OTUと226 OTUであった。子実体調査で特に多く見つかったグループ(ベニタケ科)と水中のDNAとして多く検出されたグループ(コウヤクタケ科)が異なっており、OTU組成全体も子実体調査と水中のDNA間で有意に異なっていた。一方、子実体調査においても水中の菌類DNA調査においても、検出されたOTU組成は時間とともに変化していた。時間パターンの比較解析の結果、いずれの手法においても、異なる年でも調査月が同じであればOTU組成は互いに似るという季節的な変化パターンが検出されることが示された。これらの結果は、水中のDNA調査によって子実体で見られる菌類の半数以上が検出可能であり、どちらの方法でも菌類の時間パターンが検出可能である可能性を示している。ただし、子実体が得られたすべてのDNAが水中から検出されたわけでないことから、両調査手法は相互補完的であり、両者を併用することで従来の多様性調査よりも多くの菌類を検出できると考えられる。
|