2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the relationship between polymorphisms associated with Japanese population maintenance strategies and prosocial behavior
Project/Area Number |
17K15205
|
Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
江頭 優佳 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 知的・発達障害研究部, 流動研究員 (10793200)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 向社会性 / 遺伝子多型 / 性格特性 / 発達障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は日本人集団の向社会的行動と遺伝子多型との関連を検討するため、健常大学生28名に対して経済ゲームを実施した。同時に共感特性、所属欲求、ADHD傾向、ASD傾向などの性格特性に関する自記式の質問紙を用いて個人の性格・発達特性を把握した。経済ゲームでは被験者はPCを用いて、架空の相手(被験者は知らない他者とゲームをしていると信じている)とお互いに200円ずつ(合計400円)を出し合い、1)相手の分配額を受け入れるしかない、2)自分の希望の分配額で分配できる、3)相手の分配額の提案を拒否できる(拒否するとお互いに収入は0円)、4)自分の分配の提案に対し相手が拒否できる(拒否するとお互いに収入は0円)という4種類のルールに、3)、4)に対して対戦相手のフィードバックがある条件の6種類を実施した。これらに加えて3種類の金銭分配方法(平等、自分に利益がある、相手と自分の合計取得金額が最大になる)のうち、どの分配方法を選ぶかのアンケートを取った。解析対象とした遺伝子多型はセロトニントランスポーター遺伝子多型とした。これはS/Lの2種類のアレルがあり、3パターン(SS/SL/LL)に分類される。ヒトの不安や衝動性との関連が報告されており、Lアレルを持つヒトはSSタイプと比較して不安障害になりにくい一方、衝動性が高い。本研究では28人中8人がSLタイプ、ほかはSSタイプであった。一般化線形モデルでの解析の結果、SLタイプはSSタイプよりも自分に利益がある金銭分配をしやすいことが分かった。これはLアレルの衝動性の高さに起因する可能性がある。一方でADHD傾向が高いほど平等な分配をしやすい、コミュニケーションや注意の切り替えが苦手なほど平等な分配をしないなど、発達障害特性との関連が見られ向社会的行動と発達特性との関連を考慮する必要があることが分かった。
|