2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K15206
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Research Institution | Neuropsychiatric Research Institute |
Principal Investigator |
成澤 元 公益財団法人神経研究所, 研究部, 研究員 (80763896)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 入眠感 / 寝つき / 脳波 / 近赤外分光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳波および近赤外分光法(NIRS)による客観的指標が入眠に伴ってどのように変化するか、さらには入眠の容易性によってそれらの変化に差異が生じるかを日中仮眠で確認するため、個人内で入眠しやすさを操作した実験を予定していた。具体的にはカフェインを使用した計画で、仮眠前のカフェイン摂取によって再現された寝つきにくさを条件のひとつに設定し、通常条件と軽度断眠によって寝つきやすくする条件と比較する予定でいた。摂取するカフェイン量は、困難だが入眠可能な量である必要があり、予備実験でこの量を決定しておかなければならなかった。予備実験では50、75、100mgのカフェイン量をカフェインレスの飲料に混ぜて摂取し比較したが、1時間後の主観的評価には個人差が大きく、鋭敏に反応する者やまったく影響の出ない者まで様々だった。このことから、個人間で摂取量を統一することは非常に困難で現実的でないことがわかった。そこで、本研究では眠気の日内変動を利用し、個人内での入眠容易性の自然変化の範囲で比較を試みることとした。主観的な眠気は体温の日内変動に合わせて変化し、体温の高い時間帯は眠りにくく、体温の低い時間帯は眠りやすいことが知られている。また、普段終夜睡眠で寝つきが悪い者は、日中も過覚醒状態が続き寝つきにくいという報告もある。日中の眠気の客観的評価方法である反復睡眠潜時検査(MSLT)のプロトコルを用いて、2時間おきに20分間の仮眠を計4回とり、眠りやすいときと眠りにくいときを比較する計画に修正する。現在、倫理審査委員会からの承認を受け、実験参加者を募集している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、カフェインを使用した計画で、仮眠前のカフェイン摂取によって再現された寝つきにくさを比較条件のひとつに設定していた。摂取するカフェイン量は、困難だが入眠可能な量である必要があり、予備実験でこの量を決定しておかなければならなかった。しかし予備実験で50、75、100mgのカフェイン量をカフェインレスの飲料に混ぜて摂取し比較したところ、1時間後の主観的評価には個人差が大きく、個人間で摂取量を統一することは非常に困難で現実的でないことがわかった。そこで、本研究では眠気の日内変動を利用し、個人内での入眠容易性の自然変化の範囲で比較を試みることとし、計画を修正したためやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
日中の眠気の変化を利用したMSLTによる実験によって、まずは仮眠によって寝つきの善し悪しによる脳波やNIRSの指標の変化を確認する。その後、終夜睡眠においても同様の結果が得られるかについて、睡眠健常群と不眠群で仮眠実験と同じ指標を用いて検討する。その際、所属先の附属病院では不眠のみでの受診者は多くなく、課題となる事案である。これについては、不眠者が必要数確保できない場合、尺度および活動量計、睡眠日誌などからの情報で入眠困難が確認される群との比較という修正で対応する可能性がある。
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Causes of Carryover |
予備的な調査の結果から、当初予定していたカフェイン飲料を使用した計画を修正し、カフェイン飲料を使用しない計画となった。実験自体の実施も延期せざるを得なかったため、年度内に使用する額にも変動が生じた。計画変更によって新たに必要となる実験環境の整備とともに、実験の実施で生じる人件費等に使用する計画である。
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