2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K15206
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Research Institution | Neuropsychiatric Research Institute |
Principal Investigator |
成澤 元 公益財団法人神経研究所, 研究部, 研究員 (80763896)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 反復睡眠潜時検査 / 眠気の鈍麻 / 眠気評価の乖離 / 寝不足の慢性化 / マイクロスリープ |
Outline of Annual Research Achievements |
寝つきの良し悪しと客観的指標の関連について検討するため、当初はカフェイン摂取量を調整して実験的に寝つきにくさを作り出す計画であったが、カフェインに対する反応性の個人差が大きく、日中の客観的な眠気を測定する反復睡眠潜時検査(MSLT)のプロトコルを用いることとした。MSLTでは日中2時間おきに20分ずつ計4回の睡眠検査を行い、睡眠潜時が短いほど眠気が強いと判断する。この検査を行うことで、寝つきのいいとき悪いとき両方のデータを収集することがねらいである。 20~30代の比較的若い世代の参加者を集めて検討したところ、寝つきが極端にいい(睡眠潜時が極端に短い)者に偏りが出たため、寝つきが通常~比較的時間がかかる者を追加する必要があった。この理由としては、若い世代に多いとされる睡眠不足症候群、つまり慢性的な寝不足状態にある者が多かったことが考えられる。ところが、睡眠潜時が極端に短かった者でも、主観的な眠気指標では眠くなかったと評価する乖離したケースが一定数みられた。寝つきの良し悪しと眠気の強弱は関連が深いため、この乖離は研究テーマ上、非常に重要な問題であると考えた。 寝不足が慢性化すると眠気に鈍感になるとの先行研究もある。そこで、主観的眠気が低い参加者を対象に客観的眠気(睡眠潜時の長・短)で群分けを行い、生活習慣や日中仮眠の睡眠構造を中心に特徴を比較した。その結果、睡眠潜時が短い者の睡眠は安定せず、睡眠と覚醒とを繰り返すような状態が特徴的であった。睡眠変数には反映されない程度の短い眠り、いわゆるマイクロスリープも多く、日常的に出現している可能性もある。また睡眠日誌による普段の平均睡眠時間は睡眠潜時が長い群より短めであったが、推奨される睡眠時間を大幅に下回るものではなかった。現在、寝つくまでのより詳細で包括的な客観指標の変化について、NIRSを含めて解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集において、寝つきが極端にいい(睡眠潜時が極端に短い)者に偏りが出たため、寝つきが通常~比較的時間がかかる者を追加する必要があった。データ収集に時間がかかったものの、解析作業は順調に進んでいることから判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、臨床群を含めた終夜睡眠データの収集を開始しているが、想定以上に寝つきの悪さのみを訴える不眠症が少なく、他疾患の併存がみられる者が多い。他疾患の影響を除外、あるいは統制することが極めて難しい状況である。そのため、本研究課題では治療中の精神疾患、睡眠障害のない者を対象として、寝つきの良し悪しと終夜睡眠構造の関連性を検討する形に修正することとした。臨床群での検討は倫理的な配慮もあるため、健常群で確認されたことの再確認として次への課題とすることがより望ましいと判断した。
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Research Products
(5 results)