2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study on identification of genes associated with heterosis and application for breeding.
Project/Area Number |
17K15207
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北崎 一義 北海道大学, 農学研究院, 助教 (60532463)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 育種 / 雑種強勢 / テンサイ / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘテロシス(雑種強勢)は、種内あるいは種間の交雑によって得られた雑種が、生物体量などにおいて両親を上回る現象で、農作物の多収に貢献している。一方、その分子機構の詳細は明らかにされていない。 本研究では、テンサイ初期生育におけるヘテロシスの発現について、基礎的な知見を明らかにし、ハイブリッド育種効率化の技術開発に資することを目的とする。以下に、本年度の研究成果を示す。 1.前年度の遺伝子発現解析で、F1と両親間で発現量が変動する遺伝子群において、F1のバイオマス増加を直接的に説明できるGOタームは見つからなった。これは、複数のテンサイゲノム情報を参照に解析した場合においても同様であった。そこで、F1と親系統間の発現パターンに基づいて発現遺伝子を分類したところ、約7%が、F1がいずれかの親よりも有意に発現量が多く、それらの多くは器官特異的な発現パターンであった。このような遺伝子群のヘテロシスへの寄与が考えられる。 2.直根の肥大に関係する形質を明らかにするため、BC1F1集団の表現型を網羅的に調査したところ、重量以外の形質では根の細胞サイズと高い相関がみられた。各個体のゲノム配列を次世代シーケンスにより解読し、塩基多型を検出した。これに基づいて算出した各個体のヘテロ接合度と、地上部乾物重の間に有意な相関がみられた。しかし、地下部乾物重や根の細胞サイズとは有意な相関は検出されなかった。したがって、地上部と地下部では異なる遺伝子群や分子機構がヘテロシス発現に関与している可能性が考えられる。
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