2017 Fiscal Year Research-status Report
南米野生イネOryza glumaepatulaの新規浮稲性メカニズムの解明
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17K15217
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
笹山 大輔 神戸大学, 農学研究科, 特命助教 (20554249)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ストレス応答 / 野生イネ / 浮稲性 / 低酸素応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
イネの洪水適応の1つである浮稲性(深水にさらされた際に節間を伸長させる能力)は,栽培イネ(Oryza sativa)では植物ホルモンのエチレンによって促進されることが知られている。しかしながら,アマゾン川流域に自生する南米野生イネOryza glumaepatula浮稲性については,エチレンではなく,低酸素がその主たる促進要因である可能性を見出した。本研究計画は,O. glumaepatula独自の低酸素によって促進される浮稲性のメカニズムを解明することを目的とする。 平成29年度に予定した実験計画では,(1)浮稲性を強く発揮する系統の選抜,(2)節間の伸長能力とSK遺伝子の配列・発現との関係の解析の2点を目的とした。項目(1)については,供試材料25系統の深水環境下での節間伸長能力を評価し,浮稲性の高い系統を選抜することができた。項目(2)については,浮稲性の原因遺伝子とされているSNORKEL遺伝子群の配列を決定したとともに,深水環境下でのそれらの遺伝子発現を調査し,節間伸長との相関を示唆する結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に予定した実験項目はおおむね行うことができた。深水環境下でのSNORKEL遺伝子群の発現解析についてはさらに反復実験を行い,検証を行いたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,当初予定していた通り,「エチレンに依存しない節間伸長反応とSNORKEL遺伝子発現との関係の解析」を目標として,2つの実験を行う。1つは,深水環境下での節間伸長のエチレン依存度の評価を行う。もう1つは,低酸素処理による節間伸長とSNORKEL遺伝子発現との関係の解析を行う。また,平成29年度の実験の再検証として,SNORKEL遺伝子群の深水環境下での発現解析を引き続き行う。これらの実験を通じて,O. glumaepatula独自の,低酸素によって促進される浮稲性のメカニズムを解明する。
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Causes of Carryover |
平成29年度に行う予定だった実験の再検証実験を翌年度に行うため,繰り越しとした。
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Research Products
(1 results)