2018 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of analysis method for double fertilization process using unreduced male gamete
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17K15223
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| Research Institution | University of Miyazaki |
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Principal Investigator |
平野 智也 宮崎大学, 農学部, 准教授 (80455584)
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2017-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | 雄性配偶子 / 花粉 / 重イオンビーム / 重複受精 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
重イオンビームを一定量以上照射した雄原細胞では、非還元性の雄原細胞様精細胞を高頻度に形成する。炭素イオンビームを40 Gy照射して形成される雄原細胞様精細胞が、卵細胞、中央細胞のどちらと融合するのかを調査するために、未照射および各照射花粉をキルタンサスに授粉させ、交配14日後に子房を固定し、パラフィン切片を作成し胚嚢内の観察を行った。未照射花粉交配個体の胚嚢では、胚と遊離核段階の胚乳の形成が確認された。10 Gyおよび40 Gy照射花粉交配個体においても、同様に正常発達した胚と胚乳を持つ胚嚢が見られたが、一方で胚を形成しないが胚乳のみを形成する異常胚嚢が観察された。さらに、10 Gy照射花粉に比べ40 Gy照射花粉のほうが、異常胚嚢形成率が高かったことから、雄原細胞様精細胞が異常胚嚢形成に関与している可能性が示唆された。雄原細胞様精細胞が、卵細胞または中央細胞と受精しているか、どちらとも受精していないかを明らかにするために、さらに詳細な解析が必要と考えられる。
キルタンサスでは、花粉管内で形成される2つの精細胞が栄養核と結合しており，この結合を介した一群はmale germ unit（MGU）と称される。MGUにおいて栄養核と結合する精細胞（Svn）と結合しない精細胞（Sua）の間で形態的に異型化する。雄原細胞様精細胞の特性の特性として、異型化した1組の精細胞のうちどちらに近い性質を持つかを明らかにすることを目的とした。そのために、まず精細胞異型化の素過程の精査を行った。SuaではSvnよりも微小管の蓄積が早く起こっており，それに伴い微小管の蓄積量が増加すること、Sua ではSvnと比較して広い細胞質領域が存在していることが明らかになった。表層微小管の重合や微小管の構造の編成に重要な役割を果たすγ-チューブリンの特徴的な分布の差は確認されなかった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度に計画していた雄原細胞様精細胞の重複受精過程における挙動解析は、当初の透明化法からパラフィン切片法に変更したが、予定していた胚嚢内の観察を進められた。ただし、パラフィン切片法への変更に伴い、要する解析時間が増えたことから、遺伝子発現解析は次年度より行うこととした。当初計画していた精細胞異型化の素過程の精査についても、次年度の解析につながる新たな知見が得られた。
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| Strategy for Future Research Activity |
次年度も基本的には当初の計画通り研究を推進する。今年度明らかになった、異常胚嚢形成過程を明らかにするため、胚乳単離技術の確立およびフローサイトメトリー分析を進める。それにより、雄原細胞様精細胞が卵細胞と中央細胞のどちらと融合したのかを明らかにし、育種への応用の可能性を評価する。
精細胞異型化の新たな指標を明らかにするために、当初予定していた免疫染色に加えて電子顕微鏡による細胞内の観察を行うこととする。明らかになった指標をもとに雄原細胞様精細胞の特性を明らかにする。
精細胞形成前および精細胞形成期の遺伝子発現情報を活用するために、in vitro培養した花粉管から単離した雄性配偶子1細胞レベルにおける遺伝子発現解析法を確立する。その後、精細胞形成時に特異的に発現する遺伝子群が明らかになった際には、それらの遺伝子が雄原細胞様精細胞で発現しているか否かを1細胞レベルで反復して解析することで、異型化の指標とともに雄原細胞様精細胞の特性を明らかにする。
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| Causes of Carryover |
分子生物学的な実験を次年度に行うことにした点および胚乳単離技術の研修にかかわる出張の時期が次年度になったため。
次年度に分子生物学的手法に関する試薬類の購入および出張費として使用する。
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