2020 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis on postzygotic isolation mechanisms in interspecific crosses of Capsicum
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17K15224
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
手塚 孝弘 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 講師 (20508808)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | トウガラシ / 種間交雑 / 生殖隔離 / 雑種弱勢 / 系統解析 / 植物遺伝育種 / 種分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではトウガラシの交雑による育種的改良を妨げている生殖隔離を理解し、メカニズムを解明することを目指した。生殖隔離の解明のために、表現型等の特性の解析、遺伝学的解析を行った。また、トウガラシ系統の類縁関係と生殖隔離との関連性についても調査した。2020年度は次のような実験を行った。 1)前年度に雑種弱勢は温度感受性であり、25℃以下では認められるが、30℃以上では抑制されることを明らかにした。本年度は、30℃で栽培した雑種植物を20℃に移すことで雑種弱勢が誘導されることを明らかにし、この実験系を用いて雑種弱勢の解析を行った。雑種植物を30℃から20℃に移すことで、弱勢の表現型および細胞死が誘導されることを確認した。また、弱勢誘導後に、スクロース、グルコース、フルクトース、クエン酸が有意に増加しており、グルタミン酸は減少している傾向にあった。さらに、糖トランスポーター遺伝子およびサリチル酸関連遺伝子の発現量が増加していた。 2)雑種植物を30℃から20℃に移すことで弱勢を誘導する実験系、および次世代シーケンサーを用いた解析を行い、雑種弱勢に関与する遺伝子を網羅的に同定した。 3)生殖隔離の遺伝解析の結果、両親のそれぞれがもつ単一の遺伝子が原因であることを明らかにしている。原因遺伝子の単離・同定に向けて、F2分離集団を作成し、解析を行っている。 4)検定交雑により、C. annuumがもつ雑種弱勢原因遺伝子の地理的分布の調査を行った。また、36種類のSSRマーカーを使ってC. annuumの分子系統解析を行った。これらの解析から、雑種弱勢原因遺伝子は、日本では42%、日本を除くアジアでは12%、中南米では6%のC. annuum品種・系統で見つかった。C. annuumの中南米原産系統の一部が雑種弱勢原因遺伝子を獲得し、大航海時代に原因遺伝子をもつ系統およびもたない系統の両方が世界中に伝来され、世界各地で育種されてきたことが推測された。
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Research Products
(6 results)