2017 Fiscal Year Research-status Report
Phenotypic alterlations in Rosellinia necatrix by small RNAs derived from a mycovirus.
Project/Area Number |
17K15232
|
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
八重樫 元 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門, 主任研究員 (90582594)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 菌類ウイルス / スモールRNA / 白紋羽病菌 / サイレンシング / 生育 / 病原力 |
Outline of Annual Research Achievements |
果樹類の重要病原糸状菌である白紋羽病菌に感染するメガビルナウイルス(RnMBV1)は、本菌の生育や病原力を低下させる。その一方で、RnMBV1は、白紋羽病菌のウイルス抵抗性機構であるRNAサイレンシングの標的となり、多量のRnMBV1由来スモール(s)RNAが蓄積する。本研究では、RnMBV1-sRNAが白紋羽病菌の遺伝子を標的とし、本菌の菌糸生育や病原力を低下させる可能性を検証する。 平成29年度はRnMBV1-sRNAが白紋羽病菌の菌糸生育や病原力を変化(低下)させるか検証するために、dsRNA1とdsRNA2について100bpオーバーラップするように1000bp毎に分割し、各領域のdsRNAを発現するプラスミドで白紋羽病菌W97株を形質転換し、生育や病原力を調査した。その結果、dsRNA2の2-2領域(塩基番号901-1900)由来のsRNAを発現する形質転換体で生育と病原力の低下が認められた。原因領域のさらなる絞り込みは現在実施中である。一方、dsRNA1の1-9領域(塩基番号7201-8200)由来のsRNAを発現する形質転換体では、生育は野生型と同等であったが、病原力のみが低下していた。これらの結果から、RnMBV1-sRNAは白紋羽病菌の生育や病原力といった重要表現型に関わる遺伝子を標的にしていることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RnMBV1-dsRNA2に加え、dsRNA1においても病原力のみを低下させる原因領域を特定することができており、順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
RnMBV1-dsRNA2の2-2領域の絞込みは現在実施中であるが、本領域由来のsRNAが高蓄積する形質転換体では生育が低下するため、形質転換体を得るのが困難であり、研究を遅延させる可能性がある。そこで、平成30年度は次世代シーケンサーを用いたdegradome解析により、2-2領域の原因sRNAと標的となる白紋羽病菌遺伝子の同定を試みる。 1-9領域については、原因領域の絞込みを行うとともに、2-2領域と同様にdegradome解析を行う。
|
Causes of Carryover |
実験の進捗状況により、平成29年度に購入予定であった消耗品の購入を見合わせた。残額は平成30年度に消耗品費として使用する。
|