2018 Fiscal Year Research-status Report
Phenotypic alterlations in Rosellinia necatrix by small RNAs derived from a mycovirus.
Project/Area Number |
17K15232
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
八重樫 元 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門, 主任研究員 (90582594)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 菌類ウイルス / スモールRNA / 白紋羽病菌 / 生育 / 病原力 |
Outline of Annual Research Achievements |
菌類ウイルスは、植物病原糸状菌の生育や病原性といった重要表現型を低下させるため、糸状菌の生育や病原性を解明するための外来因子としても期待されている。白紋羽病菌においては、メガビルナウイルス(RnMBV1)が生育や病原力を低下させる。すなわち、RnMBV1感染によって変動する遺伝子群を解析することで、白紋羽病菌の生育や病原性を分子レベルで解明できると期待される。本研究では、RnMBV1-vsRNAが白紋羽病菌の遺伝子発現を撹乱し、生育や病原性の低下に関わる可能性を検証する。 これまでに、RnMBV1ゲノムの特定の領域のvsRNAを発現する形質転換体は、生育や病原力が低下することを明らかにしている。平成30年度は、RnMBV1-vsRNAの標的遺伝子を探索するため、ウイルスフリー株、メガビルナウイルス感染株およびRnMBV1-vsRNA発現形質転換株について、vsRNAにより切断されたmRNAの3’末端側配列(非CAP、ポリA含む)を抽出・精製し、cDNAをIllumina Hiseq2500で高速シーケンシングするdegradome-seq解析を実施した。また、白紋羽病菌のドラフトゲノムおよびRNA-seq解析データの整備を進めた。 degradome-seq解析の結果、生育と病原力の両者が低下する形質転換株、および病原力のみが低下する形質転換株について、特異的にdegradomeシグナルが検出される遺伝子を選抜することが出来た。現在、これらの遺伝子がRnMBV1-vsRNAの標的となるかを検証中である。また、白紋羽病菌のドラフトゲノムおよびRnMBV1感染により発現変動する遺伝子群を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、degradome解析によりRnMBV1-vsRNAが標的とする遺伝子候補の選抜を行い、数種にまで絞り込むことができ、おおむね順調に進展していると考えられる。現在絞り込まれた候補遺伝子が真に標的となるかを調べるための検証試験を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
degradome-seqにより選抜されたRnMBV-vsRNAの標的候補遺伝子について、真に標的となるかを検証するため、GFP遺伝子に標的候補遺伝子のRnMBV1-vsRNAによる切断推定領域を付加したGFPセンサー遺伝子を発現する形質転換体を作出し、RnMBV1感染(=RnMBV1-vsRNA発現)によりGFPセンサー遺伝子がサイレンシングされるかを調べる。また、標的になると確認された遺伝子については、発現抑制株を作出し、表現型を解析する。
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Causes of Carryover |
形質転換体を利用した候補遺伝子の選抜を優先し、候補遺伝子のリアルタイムPCRによる発現解析を実施しなかったため次年度使用額が生じた。次年度は形質転換による候補遺伝子を選抜するとともに発現解析に利用する。
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