2017 Fiscal Year Research-status Report
ムギ類を汚染する赤かび病発生とかび毒蓄積の微生物的防除研究
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17K15233
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 育男 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (70743102)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | コムギ / 赤かび病 / デオキシニバレノール / DON / DON分解細菌 / 生物防除 |
Outline of Annual Research Achievements |
コムギ赤かび病菌等により産生されるかび毒デオキシニバレノール(DON)は人畜に毒性を示すだけでなく、コムギに対する病原性因子でもあることから、DON分解微生物を用いたコムギ上でのDON低減は赤かび病の発生も抑制できる可能性がある。そこで、本年度はこれまでに申請者らが分離した15種のDON分解細菌を用いてコムギ発病抑制効果を検証した。 発病抑制試験には、コムギ赤かび病菌の病原性試験に用いられているPetri dish test (Purahong et al., 2012) の方法を参考にして、以下の方法で行った。表面殺菌したコムギ種子(農林61号)を発芽させたのち、OD600 0.1に調整したDON分解細菌を接種した後に、コムギ赤かび病菌Fusarium graminearumの胞子を接種した。観察は胞子接種6日後に行い、葉の長さと病徴部位の長さをそれぞれ測定し、発病度(葉の長さに対して菌糸が広がっている割合)を算出した。その結果、葉の長さと発病度には強い相関が認められ、赤かび病の感染拡大すなわち菌糸の伸長の割合が大きいほど、葉の長さが短くなることが示された。 さらに、複数のDON分解細菌株接種区で発病度の低下が示され、これら細菌株がコムギ赤かび病発病抑制能を持っている可能性が示された。 一方、当初予定していた新規DON分解代謝酵素の同定については、細胞抽出液を調製したものの酵素精製に耐え得る十分な活性が検出法が確立できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コムギ赤かび病の発生抑制細菌株の選抜については目処が立ったが、もう一つの目標であった新規DON代謝酵素の解明については進展しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
コムギ赤かび病の発生抑制細菌株の選抜については、コムギ種子を用いた選抜試験法が確立できたので、ポット試験による更なる選抜を行う。 新規DON代謝酵素の解析については、同酵素活性の検出条件を再度探索する。すなわち、DON分解細菌の培養条件、DON代謝酵素活性の局在性、酵素活性の補酵素・補因子、安定化条件について検討し、同酵素の精製を試みる。
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Research Products
(2 results)