2018 Fiscal Year Annual Research Report
A combination of radiotracer/electronode/omics methods for the analysis of mineral uptake
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17K15236
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 奈通子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (60708345)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ミネラル吸収 / 環境応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
根のミネラル吸収機構が環境の変化にどのように応答するのかを、時間、空間の点から詳細に解析するため、電気生理を用いたFlux測定を実施した。実験では、一週齢のイネの根を用いて、伸長領域と成熟領域に着目し、塩ストレス(30 mM NaCl処理)開始前後のナトリウム、カルシウム、カリウムイオンのFluxを同時測定した。その結果、ナトリウムイオンは根の伸長域においては流入と流出が短時間で連続的に生じるが、成熟域においては塩ストレス開始直後にナトリウムイオンの大きな流入が観察された。そして、この流入は5分後には収束し、その後は伸長域と同様の流入と流出が捉えられた。通常環境下において根へのナトリウムイオンの流入を担う経路が、高濃度のナトリウムに応答して速やかに閉鎖する仕組みがある可能性が示された。同時に計測したカリウムイオンは常に流出が観測され、時間とともに特に成熟域での流出速度が上昇する傾向が見られた。カリウムイオンの流出は塩ストレスの一因になると考えられるため、今後、これを担う分子の同定が重要なターゲットになると思われる。カルシウムイオンも塩処理直後には流出が観察されたが、10分後にはFluxが止まることが分かった。カルシウムは、細胞内から流出したのではなく、細胞壁に含まれていたカルシウムが高濃度のナトリウムによって解離したもので、塩ストレスによるFluxの変化は無いか極めて小さいと推測された。また、昨年度の実験においてマグネシウム欠乏によってマグネシウム吸収速度の上昇が確認されたことに基づき、トランスクリプトーム解析を実施した。その結果、マグネシウム吸収速度が上昇している時間帯においても、マグネシウム輸送体として知られているMRS2/MGTファミリーの9遺伝子には発現の変化が認められず、マグネシウム欠乏によるマグネシウム吸収速度の上昇には未知の輸送体が関わる可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)