2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K15238
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 真理子 京都大学, 化学研究所, 助教 (90736646)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リン脂質シグナル / 植物細胞形態形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
根毛は水・無機栄養素の吸収、植物体の固定、土壌微生物との相互作用に機能する植物組織である。根毛は根表皮の根毛細胞から発生し、細胞の伸長が先端のみで起こる「先端成長」によって形成される。その結果もたらされる円筒状形態は根毛機能を支えるための重要な因子である。これまでに、先端成長中の根毛細胞においては、ホスファチジルイノシトール4,5-二リン酸(PI(4,5)P2)とその生成酵素が細胞伸長の起こる先端の膜領域に蓄積すること、およびPI(4,5)P2生成酵素をコードするPIP5K3遺伝子を過剰に発現したシロイヌナズナは根毛伸長を著しく促進することから、PI(4,5)P2は根毛伸長の正の制御因子であると考えられている。本研究では、PI(4,5)P2によって制御される根毛伸長機構を解明するため、PI(4,5)P2生成酵素であるPIP5K3およびPI(4,5)P2結合能を有するカルシウム結合タンパク質PCaP2の制御的役割に注目した。初年度は、蛍光タンパク質を付加したPCaP2-GFP融合タンパク質およびPI(4,5)P2を特異的に認識する分子プローブの挙動について、共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察した。その結果、伸長中の根毛細胞において、PCaP2-GFP蛍光とPI(4,5)P2プローブが特定の膜領域上に観察されることが分かった。細胞内カルシウム濃度がこれらの局在化に関与する可能性を検証するため薬理学的手法を用いて検討した。つづいて、PCaP2遺伝子とPIP5K3遺伝子のT-DNA挿入破壊株を作製し、その表現型を観察した。さらに、PCaP2およびその部分タンパク質を過剰に発現した形質転換シロイヌナズを作製し、PI(4,5)P2プローブを発現するシロイヌナズナと掛け合わせ、両者を発現するシロイヌナズナを作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験に必要な形質転換シロイヌナズナを全て作製し、それぞれ複数系統を得ることができた。また、PCaP2遺伝子とPIP5K3遺伝子の二重破壊株を作製し、それらの根毛形態に新たな表現型を見出すことができた。以上の理由から研究計画に沿い概ね順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、PCaP2およびその部分タンパクを過剰発現させた形質転換シロイヌナズナを用いてPI(4,5)P2プローブに及ぼす影響を調べる。特に、PCaP2を過剰に発現させたことによるPI(4,5)P2プローブの挙動と根毛の先端成長における影響を詳細に調べる。
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Causes of Carryover |
当初の予定より消耗品の購入が少なかったため次年度に繰り越した。
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