2017 Fiscal Year Annual Research Report
新規リボソーム合成翻訳後修飾型ペプチドハイブリッド化合物の生合成研究
Project/Area Number |
17K15243
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅井 佳宣 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (60778463)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生合成 / 天然物 / RiPPs / 放線菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
放線菌Streptomyces sp. TP-A0584のゲノム中に存在するリボソーム合成翻訳後修飾ペプチド (RiPPs)-ポリケタイドハイブリッド化合物生合成遺伝子クラスターの解析を行った。これまでに行われた異種発現実験により、予想されたハイブリッド型化合物が生産されることが示唆されていた。そこでこの生合成遺伝子クラスターの機能を解析するために、特にペプチド部分の構造解析と生合成機構解明に取り組んだ。 コスミド上で複数の遺伝子を破壊し異種発現を行なったところ、ペプチド部分のみを蓄積する破壊株 (Δorf14) を見出した。その破壊株の培養液から単離・精製した目的ペプチド化合物を、高分解能質量分析と各種NMR解析に供し、その構造を決定した。この分子中にはaminovinyl-cysteineとlanthionine構造が融合した新規構造が含まれていた。この新規構造の生合成機構を解明するために、無細胞翻訳系と組換え修飾酵素を組合せることで生合成経路の試験管内再構成を行なった。構築した系を用いて、組み換え修飾酵素の機能解析を行なったところ、2種類の修飾酵素が協働して機能することにより新規構造が形成されることが示され、生合成機構を解明することに成功した。 また、ペプチド部分と脂肪酸・ポリケタイド部分を融合させる酵素に関しても解析を行なった。配列情報から、上述の実験で破壊した遺伝子 (orf14) はペプチドのN末端にポリケタイドアシル鎖を転移させると予想された。そこでこの組換え酵素を調製し、結晶構造解析を行なった。その結果、再現性良く結晶が得られる条件を見出し、得られた結晶から3.5 オングストロームの分解能の結晶構造を得ることに成功した。 これら実験結果は新規ペプチド構造の創製や、ハイブリッド化によるペプチド化合物の構造多様性の拡大のための基盤となることが期待される。
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Research Products
(3 results)