2017 Fiscal Year Research-status Report
オートファジーの炭素代謝制御への寄与とその生理的意義の酵母種横断的な解明
Project/Area Number |
17K15245
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩間 亮 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 研究員 (90793042)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オートファジー / Saccharomyces cerevisiae / 炭素源 / ダイオキシックシフト |
Outline of Annual Research Achievements |
オートファジーは真核生物に広く保存された細胞内分解システムであり、様々な基質を液胞に取り込んで分解することが知られている。オートファジーは窒素源飢餓時にタンパク質分解を促進し、細胞内にアミノ酸を供給する役割と一般的に考えられているが、近年、窒素源飢餓以外の条件でもオートファジーが誘導されることが知られている。しかしながら、その細胞内での役割は依然として未解明な部分が多い。本研究では、エネルギー代謝で主要な役割を担う炭素代謝に着目し、オートファジーの生理的意義を探ることを目的としており、出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeだけではない多様な酵母を解析に加えることで、炭素代謝に寄与するオートファジーの普遍性と多様性を明らかにすることを試みる。本年度では、S. cerevisiaeを中心とし、どのような条件でどのようなオートファジーが誘導されるかを調べるため、以下の解析を行った。
1. 一般的に広く使われているスタンダードな合成培地では、培地中の炭素源の濃度が高く、培養後期には炭素源以外の要因が酵母の増殖に大きく影響を与えることが示唆された。培養後期においても炭素源のみが酵母の増殖に反映される条件を見出した。 2. この条件で培養することで、ダイオキシックシフト時や非発酵性炭素源で増殖しているとき、炭素源が枯渇しているときに、オートファジーが生じることが示された。 3. ATG遺伝子破壊株を用いた解析から、それら条件でのオートファジーの機構および機能の一部が明らかになってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
S. cerevisiaeを利用した解析において、どのようなオートファジーがどのような条件で誘導されるかが見出されたきたとともに、それら条件におけるATG破壊株での表現型を解析することができた点では、当初の予定より進んでいると言える。一方で、本研究では、その他の酵母を利用した解析を予定しているが、現時点では、Yarrowia lipolyticaでATG1破壊株、ATG2破壊株を作製し、その解析の一部を行っている過ぎず、やや遅れている。総合して、順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の条件におけるそれぞれのオートファジーがどのようなシグナルで生じるのかを明らかにする。また、これらのオートファジーがどのような生理的意義を果たすのかを解明する。S. cerevisiaseで明らかになってきたオートファジー誘導条件をその他の酵母でも確かめ、特異性と普遍性について整理する。
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