2017 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of phosphorylase-dependent metabolisms of plant and animal polysaccharides in higher fungi
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17K15251
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
知久 和寛 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 講師 (30711618)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 酵素 / オリゴ糖 / 代謝 / キノコ / 高等真菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
高等菌類であるキノコは,地球上の生態系における炭素循環システムの維持に大きく貢献しており,植物性・動物性多糖の代謝機能に優れた微生物種の一つである。本研究は,キノコが保有する効率的なエネルギー消費を特徴とする加リン酸分解酵素(ホスホリラーゼ)依存型新規代謝機構を明らかにすることを目的にしている。 研究初年度は,申請者がキノコの菌糸体細胞内成分より見出した,植物性・動物性多糖の分解産物であるマルトオリゴ糖,イソマルトオリゴ糖,セロオリゴ糖,キシロオリゴ糖,キチンオリゴ糖の細胞内分解に寄与する酵素群の生産条件(誘導に関与する基質や培地、培養条件など)を調べるとともに,各種カラムクロマトグラフィーを用いた酵素の精製とプロテインシークエンサーやMALDI-TOF-MSを用いたタンパク質の部分構造解析に着手した。 研究当初の問題点として,上述したオリゴ糖の代謝に関連する酵素の生産性が安定しないことがあった。そこで培養法や添加する培地(酵素の生産誘導に関与すると考えられるオリゴ糖やリン酸塩など)を検討した結果,マルトオリゴ糖とキチンオリゴ糖の細胞内分解に寄与する酵素の生産性を向上させることが出来た。さらに,関連する酵素タンパク質を硫安分画,疎水性相互作用カラム,陰イオン交換カラムに供することによりSDS-PAGE上でほぼ単一のバンドまで精製できた。現在プロテインシークエンサーを用いたN末端アミノ酸配列の解析やMALDI-TOF-MSを用いた内部アミノ酸配列の解析を進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マルトオリゴ糖やキチンオリゴ糖の分解に関与する酵素の性状評価と一次構造解析は当初の計画通り進行している。キノコの大量培養を行い,得られた酵素の特性と酵素の一次構造の解析を引き続き進行する。生産性が低く現状では解析が困難な一部の酵素については,引き続き培養条件を精査する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究計画に従い,キノコからmRNAを抽出し逆転写酵素により,cDNAライブラリーを取得する。酵素の一次構造を十分に解析できなかった場合は,トランスクリプトーム解析によりmRNAのシーケンシングとマッピングを計画している。 酵素遺伝子を取得し,大腸菌や酵母などを宿主とした組換え酵素の生産系を構築する。
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Causes of Carryover |
タンパク質の一次構造解析に使用するMALDI-TOF-MSの使用料として,一部残額を残した。翌年度分として請求した助成金と合わせて,引き続きタンパク質の一次構造解析を行うとともにmRNAのシークエンス解析(外注の予定)に使用していきたい。
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