2017 Fiscal Year Research-status Report
植物ホルモン・ストリゴラクトン作用機構を利用した有用形質制御に資する分子基盤研究
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17K15258
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平林 佳 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特別研究員 (00778730)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 植物ホルモン / X線結晶構造解析 / 構造生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物ホルモン「ストリゴラクトン(SL)」は、植物の「枝分かれ」という、農業バイオマスに寄与する極めて有用な形質を制御している。本研究では、まだまだ未解明な点の多いSL情報伝達機構について、その全容解明を目指し、受容体タンパク質D14を起点に構造生物学的/生化学的アプローチを仕掛けている。得られた成果は、植物本来が持っている生長のための潜在能力を顕在化・活性化させるための知見・技術として利用できる。今年度は、以下のような成果が得られた。
SL反応機構を理解するため、D14について高濃度SL溶液ソーキングとクライオトラッピング法を組み合わせ、SL分解の中間状態を時分割で捕捉し、加水分解反応の追跡を試みた。基質の占有率の問題で、反応状態の同定が難しい条件も複数あるが、いくつかの条件では構造決定に成功した。より詳細な議論を行うため、さらなる条件検討を進めている。SLの正確な反応時結合様式情報が得られれば、周辺残基への変異導入等、SL結合の安定化(= 情報伝達因子との結合安定化)にも応用することができる。 また本グループが独自に開発している、SLアゴニスト/アンタゴニスト候補について、その作用機構を明らかにすべく、D14 との共結晶化を進めた。条件検討を繰り返した結果、複数の化合物についてその複合体構造を明らかにすることに成功した。そのうちの一つの構造については、その成果をまとめ、現在国際誌に論文投稿中である。活性の作用点・結合様式の詳細を明らかにしたことで、さらなる新規制御剤のデザイン・創製への道が開かれた。
以上の成果は、本研究計画の達成において欠かせないものであり、次年度の研究をさらに発展させる非常に有意義な結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究の目的」の達成のため、本年度の研究実施計画に基づいて実験を遂行した結果、おおむね予定通りの成果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は現在のところおおむね順調に進展しているため、今後の推進方策については、今年度の研究成果を踏まえ、次年度以降も、研究計画調書に記載した研究実施計画に沿って実施していく予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Methyl phenlactonoates are efficient strigolactone analogs with simple structure2017
Author(s)
Jamil M., Kountche A. B., Haider I., Guo X., Ntui O. V., Jia K., Ali S., Hameed S. U., Nakamura H., Lyu Y., Jiang K., Hirabayashi K., Tanokura M., Arold T. S., Asami T., Al-Babili S.
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Journal Title
Journal of Experimental Botany
Volume: erx438
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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