2018 Fiscal Year Annual Research Report
Engineered production and biosynthesis of mushroom-derived natural products from the encrypted biosynthetic gene
Project/Area Number |
17K15265
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
恒松 雄太 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (30629697)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 天然物 / 担子菌 / 生合成遺伝子 / キノコ / 形質転換 / ポリケチド / テルペン / ウシグソヒトヨタケ |
Outline of Annual Research Achievements |
新奇天然物は医薬品や生命科学現象解析ツールとして有用であり、その効率的獲得法の樹立が望まれている。本研究では担子菌ウシグソヒトヨタケCoprinopsis cinereaに対し、過剰発現・遺伝子破壊などの遺伝子操作を施すことにより新奇天然物生産系の構築を目指した。担子菌を由来とする休眠型天然物生合成遺伝子は、担子菌の遺伝子操作の困難さゆえに世界的に未開拓の研究領域であり、遺伝子の覚醒により得られる天然物は新規性の高い構造であると期待される。 本研究期間において、まずはC. cinereaに対して形質転換が行えることを確認し、326株を用いて遺伝子の過剰発現を、ku3-24株を用いて遺伝子破壊が行えることをそれぞれ確認した。次に、約15種の遺伝子発現プロモーターの有用性を調査し、テルペン系化合物lagopodin B、ポリケチド系化合物orsellinic acidの過剰生産にはDED1プロモーターが適することを明らかにした。具体的に、各化合物の生産性は最大250倍程度まで向上した。その後、複数の機能未知生合成遺伝子の強制発現を試みた。 一方、C. cinereaの天然物生産制御系を撹乱させることによって新奇天然物の獲得に成功した。推定エピジェネティック制御遺伝子laeAを破壊した株において新奇天然物Aの生産が認められ、その平面構造は各種スペクトルデータの解析により、絶対立体配置は改良Marfey法にて決定した。続いて天然物Aの生合成遺伝子boa1を遺伝子破壊法により同定した。boa1欠損株は菌糸成長が遅く、子実体(キノコ)形成不全の表現型が認められた。本表現型は天然物Aの添加により相補されたことから、新奇天然物AがC. cinereaの菌糸成長や子実体形成に重要な役割を担うことが示唆された。以上のように、本研究により興味深い生物活性を示す新奇天然物の導出に成功した。
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