2017 Fiscal Year Research-status Report
Effect of acetic acid administration on the composition of gut microbiota
Project/Area Number |
17K15271
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
吉村 征浩 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教 (60455566)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 酢酸 / 短鎖脂肪酸 / 腸内細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、酢酸摂取が腸内細菌叢に与える影響を明らかにすることである。平成29年度は、SDラットへ1%重水素酢酸(d4-酢酸、Ace群)もしくは飼育水(Wat群)を体重100 gあたり0.5 mL、1日1回体重測定後に胃ゾンデにより、1か月間にわたり投与した。Ace群とWat群で体重増加量に変化はなく、解剖時に異常も見られないことから、d4-酢酸の投与量は妥当なものであると判断した。投与前および投与期間においては1週間ごとに、1日に排出された糞便を回収し、糞便サンプルより細菌DNAおよび短鎖脂肪酸を抽出し、それぞれPCR-DGGE、GC-TOFMSに供し、腸内細菌叢構成に変化がみられるか、また糞便サンプル中の短鎖脂肪酸量を調べた。各個体のPCR-DGGE法による腸内細菌叢構成の比較を行い、泳動パターンのクラスター解析の結果、Wat群とAce群でクラスターが分かれ、明確なパターンの変化が見られ、酢酸の継続摂取が腸内細菌叢構成に変化を及ぼすことが明らかとなった。糞便サンプル中の短鎖脂肪酸解析の結果、d4-酢酸を摂取させた個体の糞便中に存在する酢酸は、分子量が60であり、摂取させたd4-酢酸の分子量64とは異なることが判明し、摂取させたd4-酢酸の多くは大腸まで到達せず、上部消化管で吸収されていることが示唆された。また、Wat群と比較してAce群では統計的に有意に酪酸量が低下し、酢酸量が増加することが分かった。以上のことは、酢酸摂取により腸内細菌叢構成が変化した結果、腸内細菌叢により生成される短鎖脂肪酸分子種が変化することを示唆している。来年度は計画通り、どのように腸内細菌叢構成が変化しているのかを、リアルタイムPCRによる門レベルでの細菌の定量解析により明らかにし、メタゲノム解析により変動している細菌種を同定する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の通り、実験動物への酢酸摂取、糞便サンプル中の腸内細菌叢構成の解析、GC-TOFMSによる短鎖脂肪酸の解析を行い、期待通りの結果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は所属機関が変更になり研究環境が変化するが、必要な機器を揃え、計画通り研究を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
計画していた消耗品を購入したが、キャンペーンなどで定価より安く購入したため差異が生じた。次年度は、大型の機器を購入する予定になっており、購入費として使用する予定である。
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