2017 Fiscal Year Research-status Report
AMPKがSRSF1を介して選択的スプライシングに及ぼす影響の解析
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17K15273
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
鈴木 司 東京農業大学, 応用生物科学部, 助教 (20714588)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | AMPK / SRSF1 / 選択的スプライシング |
Outline of Annual Research Achievements |
SRSF1タンパク質はpre-mRNAのエクソン配列と結合し、スプライソソームを正しいスプライス部位に引き寄せて切断させる。そのため、標的エクソン配列との結合を変化させるSRSF1タンパク質の翻訳後修飾は、標的エクソンの選択的スプライシングの制御につながるため重要である。本研究では、選択的スプライシングを制御するSRSF1タンパク質が、細胞内のエネルギー恒常性を制御するAMPKキナーゼによってリン酸化される可能性が示されたことから、AMPKキナーゼがSRSF1タンパク質をリン酸化し、標的のエクソン配列との結合が変化することで、その選択的スプライシングに及ぼす影響を明らかにする。 平成29年度では、in vitroにおいて確認されたAMPKキナーゼによるSRSF1タンパク質のリン酸化が、実際に細胞内においても同様に起きることをリン酸化特異的抗体を用いて明らかとした。さらに、AMPKの活性を阻害したところ申請者が見出したSRSF1タンパク質のリン酸化修飾が著しく減少したことから、AMPKキナーゼがメジャーなキナーゼであることが示された。また、SRSF1タンパク質は細胞内の局在性が変化することで機能が変化するが、AMPKキナーゼによるリン酸化修飾はSRSF1タンパク質の局在性を変化させることは認められなかった。一方、SRSF1タンパク質はRNAと結合することでスプライシングを制御しているが、AMPKキナーゼによるリン酸化修飾はこのRNAとの結合性を低下させることをin vitroの実験により明らかとした。以上のことから、AMPKキナーゼはSRSF1タンパク質のリン酸化を介して選択的スプライシングに影響を及ぼす事が間接的に示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、細胞内におけるSRSF1のリン酸化を示すことができた。またこのリン酸化修飾がSRSF1の細胞内における局在性には変化はなかったものの、RNAとの結合に影響を与えることを示すことが出来たことから、概ね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、SRSF1がリン酸化されることで、成熟mRNAのエクソン構成に変化が起きるか調べる。また、細胞にAMPK活性化剤や阻害剤を処理し、成熟mRNAの標的エクソンをリアルタイムPCRやRT-PCRにて測定し、選択的スプライシングがどのように変化するか調べる。
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Causes of Carryover |
(理由) 作成したSRSF1のリン酸化抗体が機能しなかった場合に使用する予定であった試薬等の購入が必要なくなり、その費用を次年度に行う予定であった実験の予備実験の試薬等に使用したため次年度使用額が生じた。 (使用計画) 平成30年度に行う予定である実験の試薬等の購入費に当てる計画である。
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Research Products
(2 results)