2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of generation mechanism and sensory properties of oligosaccharides in sake
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17K15274
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
徳岡 昌文 東京農業大学, 応用生物科学部, 准教授 (30442544)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | オリゴ糖 / 清酒 / 質量分析 / 糖転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では清酒に含まれるオリゴ糖について、1)清酒における官能特性の解明、2)構造の解明、3)生成メカニズムの解明、4)生成に関わる清酒製造工程の解明、の4つの観点から研究を行い、それぞれ下記の成果を得た。 1)活性炭と固相抽出により清酒オリゴ糖を調製して官能評価を行った結果、水への添加時の推定閾値は0.56%(w/v)となり、「舌に残る甘味」「まろやかな口当たり」などの官能特性が明らかとなった。糖質ゼロ清酒への添加では推定閾値は1.49%であり、清酒オリゴ糖量が0.6%以上と推定されているため、清酒呈味への影響は限られている可能性が示された。 2)重合度6のオリゴ糖の一方が、α-1,6結合を2カ所にもつ新規の六糖であることを明らかにした。本オリゴ糖は市販の糖質ゼロ清酒においても残存するため、低糖質清酒の製造において糖の低減化の障害となっている可能性がある。また、重合度7,8の主要なオリゴ糖についてNMR解析を行い、清酒中オリゴ糖の構造的特徴を明らかにした。 3)麹菌α-グルコシダーゼAgdAとAgdBについて、遺伝子破壊株と高発現株の製成酒を作製することで、両酵素とも清酒オリゴ糖の生成に関わっていることを明らかにした。さらに、清酒呈味成分で保湿効果などが知られるα-エチルグルコシドに類似した化合物が清酒に含まれることを見出し、酵素合成とNMR解析から、α-エチルマルトシド及びα-エチルイソマルトシドであると明らかにした。市販清酒の分析から一般的に含まれる化合物であったことから、清酒の品質に関わる新規呈味物質である可能性がある。 4)については麹、酒母、醪及び貯蔵中のオリゴ糖を分析し、清酒製造工程におけるオリゴ糖の消長を明らかにし、製成酒に含まれるオリゴ糖は、米麹や酒母から移行するのではなく、醪中での複雑な消長を経て生成することを明らかにした。
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Research Products
(3 results)