2018 Fiscal Year Research-status Report
Effect of the loss of large animals on figs on Borneo
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17K15285
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
中林 雅 琉球大学, 理学部, JSPS特別研究員(PD) (70770858)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | イチジク / 森林の空洞化 / 種子散布 / 大型動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、大型種子散布動物が生息している健全な森林と、人為的攪乱が原因で大型種子散布動物が喪失した空洞化した森林において、調査プロットの作成、カメラトラップの設置、および調査対象種の探索を行った。別の研究チームがすでにカメラトラップを設置し、生息している動物相について発表が行われた調査地にはカメラトラップを設置していない。 調査地に入るための自動車の確保に想定以上に手間がかかったため、調査対象種の探索はまだ完了していない。現在までに、健全な森林では大型果実をつけるイチジク種の多様性および密度が、空洞化した森林のものよりも高いことが分かっている。また、イチジク全体の種多様性は、健全な森林の方が空洞化した森林よりも高いことが分かった。 今後、調査対象種の探索が完了するとこれらの結果が変わる可能性があるが、これは大型のイチジクを食べて種子を散布することができる大型種子散布動物が局所的に喪失したことで、大型のイチジクをつける種の分布が制限される、という報告者の予想と一致する。また、イチジク果実の大きさに関わらず、大型種子散布動物が生息していない森林では、イチジク自体の種多様性が低いことが示唆された。これは、これまで小型種子をつける植物は森林の空洞化の影響を受けにくい、というこれまでの考えに反するものだ。調査対象種の探索の速やかに完成させ、これらの点について定量的に評価を行う必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
マレーシア・サバ州森林局の協力を得て本研究を行っているが、調査地に入るための自動車の台数が制限されているため、本研究の調査の時期に自動車を確保することができず、予定よりも調査が大幅に遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は各プロットで調査対象種の探索を速やかに完了させ、遺伝解析を行う予定である。研究代表者が渡航できない時期にも本調査を継続して行うために、現地森林局の職員の協力を得て調査対象種の探索を行う予定である。 また、これまでの調査によって、森林の空洞化現象は小型種子をつけるイチジクの種子散布に影響する、ということが明らかになりつつある。これは、これまで考えられていた通説とは全く異なる結果である。速やかに結果をまとめ、東南アジア熱帯でも森林の空洞化現象が起こっていること、また小型種子をつける植物にも影響することを学術誌や学会で適宜公表する予定である。
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Causes of Carryover |
2018年度は、調査地に入るための自動車を予定通りに確保することができなかったため、調査が大幅に遅れた。そのため、予定していた物品購入費および旅費を昨年度中に使用することができなかったため。この分の経費は次年度に繰越し、2019年度の調査で使用する予定である。
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