2017 Fiscal Year Research-status Report
森林生態系における菌根菌への炭素配分:リアルタイム菌糸呼吸測定法の開発
Project/Area Number |
17K15289
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
今井 伸夫 東京農業大学, 地域環境科学部, 准教授 (00722638)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 菌根菌 / 呼吸 / 炭素配分 / 森林 / 二酸化炭素 |
Outline of Annual Research Achievements |
温暖化応答予測のための炭素フラックス観測の広がりによって、群落レベルでの「光合成」の理解は大きく進んだ。しかし、その光合成産物の樹体内での「配分」については、炭素動態予測のうえでは等しく重要であるにもかかわらず、あまり注目されてこなかった。なかでも、植物根に共生している菌根菌への炭素配分は、ホストである植物根の呼吸と一括りにされ無視されてきた。しかし、根呼吸の過半が菌根菌呼吸である可能性さえ指摘されており、菌根菌呼吸を含めた統一的な炭素配分の理解が求められている。本研究は、菌根菌呼吸の野外リアルタイム測定手法の開発と、菌根菌呼吸に及ぼす環境(温度・水分)と呼吸基質(光合成産物)の影響を明らかにすることを目的とした。 まず、菌根菌呼吸の野外リアルタイム測定手法を開発し、森林総研関西支所の京都府山城試験地において測定を開始した。定期的に呼吸カラーの掘り取りを行い、根・微生物呼吸によるコンタミ量の測定を行った。掘り取ったカラー内の菌根菌量を、顕微鏡を用いた直接観察法によって定量した。現在、菌根菌呼吸とその規定要因である温度・水分との関係性、あるいは菌根菌バイオマス量との関係性について、それぞれ関数化することに取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
菌根菌呼吸の野外・連続・分離測定手法の開発、特に腐生性微生物由来CO2のコンタミ回避のプロトコル開発は、試行錯誤の連続で時間を要した。しかし、研究協力者らの助力により、研究は概ね順調に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も予定通り、以下を行う。①菌根菌呼吸の野外連続測定を引き続き続ける。②同時測定している温度・水分などに関するデータを用いて、呼吸の環境応答特性について引き続き解析を行う。③カラー内の菌糸量および炭素含有量の測定を行い、菌根菌の呼吸-バイオマス関係、および呼吸-炭素量関係を調べる。菌糸量測定の方法は、申請者に経験があるため特に問題は無い。データ解析では、解析経験豊富な研究協力者らの助言を得られるため問題はない。
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