2020 Fiscal Year Annual Research Report
Verification of growth-reproduction trade-offs in Japanese larch in relation to environmental variation
Project/Area Number |
17K15291
|
Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
松下 通也 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 林木育種センター, 主任研究員 (70624899)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | カラマツ / 繁殖 / 環境適応 / UAV |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに蓄積した繁殖および成長形質データを整理し、成長形質における系統間/産地間の違いや、雄花/雌花における着花性におけるカラマツ第一世代精英樹の系統特性を評価した。その結果、成長形質では、有意な系統間(家系間)の違いが検出される一方、系統間分散を上回る遺伝×環境の相互作用も検出された。また着花性(雄花・雌花双方)においても系統間の違いが検出された。系統ごとの遺伝的能力推定値を算出し、各形質ごとに傾向を確認したところ、地理的な傾向(勾配)が各形質において認められた。 雄花着花性では西低東高の傾向であったのに対し、雌花着花性では長野出身の系統で高い傾向といった地理的傾向が認められた。一方、成長形質では、長野東部の系統で能力が高く推定される傾向であった。 各系統ごと推定された遺伝的能力における各形質間の関連性を検討した結果、雄花と雌花の着花性同士では有意な正の相関が認められた。しかし繁殖形質(雄花・雌花)と成長形質の間には、明瞭な傾向は検出されなかった。 研究課題を立案した当初の仮説では、由来地域に関連した遺伝的能力における地理的傾向が各形質ごとに存在し、またその地理的傾向のクライン(勾配)が形質によって異なることを想定したが、この傾向は本研究結果より支持された。一方、もう一つの仮説として、由来地域による遺伝的能力の地理的傾向が形質によって異なることにより、例えば成長と繁殖の間にトレードオフ(あちら立てばこちら立たずの負の相関関係)が存在するのではということを想定していたが、これについては検出されなかった。
|