2019 Fiscal Year Annual Research Report
Reconstructing organic matter accumulation in permafrost soils using environmental archeology
Project/Area Number |
17K15292
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
藤井 一至 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (60594265)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 永久凍土 / 土壌有機物 / 気候変動 / 北極圏 / 年輪解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
カナダ永久凍土地帯のクロトウヒ林において、過去200年間の凍土マウンド(凹凸地形面)の発達速度を年輪解析によって推定した。まず、年輪の歪み(あて材形成)が起こる条件として、クロトウヒが粘土質土壌と浅い凍土面(<50センチメートル)のマウンド周縁部に生育することが必要となることを特定した。さらに、凹凸地形面の発達程度とあて材形成が同調することを利用し、過去200年間の凍土マウンドの発達過程を復元する手法を開発した。さらに、リターバッグ試験によって、地衣類リターの分解速度が最も遅く、凹凸地形面における地衣類の生産量がマウンドの土壌炭素蓄積量に重要であることが示された。この分解速度定数を用いて温暖化で想定される維管束植物の増加、火災頻度の増加という異なるシナリオで土壌炭素蓄積量の変動を試算した結果、短期的な温暖化であれば地衣類リター生産量の増加によって土壌炭素蓄積量は増加しうるが、温暖化によって凹凸地形面が崩壊した場合には、分解しやすい維管束植物リターの割合が増加し、土壌炭素蓄積量が低下することが示唆された。凹凸地形面の発達は温暖年に活発であり、年平均気温の増加し始めた1960年以降、堆積有機物層の発達と凹凸地形面の発達が加速していた。ただし、今後さらに温暖化が進み、凹凸地形面の条件となる浅い永久凍土面が消失すると、凹凸地形面が崩壊し、分解しやすい維管束植物のリター供給が増加することで堆積有機物の減少を招くことが予想された。また、温暖化影響は凹凸地形面の発達する粘土質土壌で砂質土壌よりも大きいことが推定された。
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