2017 Fiscal Year Research-status Report
ナノセルロース/ポリマー複合粒子のエマルションテンプレート合成
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17K15298
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤澤 秀次 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (80756453)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ナノセルロース / マイクロ粒子 / エマルション |
Outline of Annual Research Achievements |
木質資源の有効利用へ向け、ナノセルロースを用いた機能性材料創出を目的としている。本研究課題では、樹木から調製されるナノセルロースの特異的サイズおよび表面物性を活かし、ナノセルロース/ポリマー複合粒子の調製を行う。本年度は、ナノセルロース/ポリマー複合粒子の調製条件最適化を行った。 針葉樹漂白クラフトパルプに対してTEMPO(2,2,6,6-tetramethylpiperidine-1-oxyl)触媒酸化を施すことによって、表面にカルボキシル基を有するナノセルロ―ス水分散液を調製した。このナノセルロース水分散液に対して開始剤を溶解させたモノマーを添加し、超音波処理を行うことでモノマー液滴がナノセルロースによって分散安定化されたoil-in-water (o/w)エマルションを調製した。モノマー液滴サイズは超音波処理時間に伴って減少し、1分ほどの処理で約3 μmにレベルオフすることが分かった。このo/wエマルションは非常に安定であり、一週間常温で静置してもクリーミングや液滴合一が起きなかった。このエマルションを加熱・撹拌処理することで、ナノセルロースに内包されたモノマーを重合し、粒子を得た。粒子が最も収率よく得られる反応条件を探るために、反応時の開始剤量、反応時間および温度を変化させて実験を行った。その結果、粒子合成に適した反応条件を見出すことができ、その際の収率は80%以上であった。また、他の様々な幅や表面荷電量を有するナノセルロースを用いて比較実験を行い、粒子合成に適したナノセルロースの条件も見出すことができた。このように、ナノセルロースで安定化したo/wエマルションをテンプレートにナノセルロース/ポリマー複合粒子を調製することが出来、最適な調製条件を見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノセルロース/ポリマーマイクロ粒子を高収率で調製できる条件を見出しており、計画通りに研究が行えている。また、環境調和性の高い水系プロセスでマイクロ粒子を回収および精製できるプロセスを確立した点も特筆に値する。さらに、マイクロ粒子合成に適したナノセルロース調製条件に関する知見も得られており、概ね順調に研究が行えていると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
ナノセルロース/ポリマー複合マイクロ粒子の構造評価法の確立を目指す。本年度は、粒子のサイズ分布評価および形態観察を行う。サイズ分布評価は、動的/静的光散乱法を用いて行う。また、形態観察は光学顕微鏡および電子顕微鏡を用いて行い、得られるマイクロ粒子の構造を評価する。これら構造的知見を活かし、次年度以降にナノセルロース/ポリマー複合マイクロ粒子物性評価を行う。
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Causes of Carryover |
申請者の異動により、必要な実験機器に変更が生じたため。
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