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2017 Fiscal Year Research-status Report

アサリ稚貝生残に与える投石・覆砂の潜在効果の解明:漁場管理技術の躍進に向けて

Research Project

Project/Area Number 17K15303
Research InstitutionNagasaki University

Principal Investigator

竹内 清治  長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 助教 (50758844)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywordsアサリ / 稚貝 / 生息場環境 / 漁場管理 / 投石・覆砂 / 隠蔽色
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、アサリ漁場管理における投石・覆砂の効果を新たな観点から評価し、その潜在効果を引き出すことに資することのできる科学的知見の構築を目的としている。本年度は、アサリ殻色の隠蔽色としての機能を効果的に引き出す底質色の存在について調べるため、以下のような野外調査と室内実験を実施した。

(1)貝殻・底質色の関係を調べるため、潮間帯に位置する3地点を対象に調査を実施した。そのうち1地点を自然砂域(暗色系の砂泥)と覆砂域(明色系の砂)とに細分した。各地点にて、アサリ稚貝(殻長15 mm未満)と表層堆積物(厚さ1.5 cm)を採取した。試料を一定条件下で撮影し、得られたデジタル画像をカラーチャートに基づき色調補正した。その画像から稚貝の貝殻表面と表層堆積物の輝度を定量し、地点間で比較した。その結果、稚貝殻色はサイト間で有意に異なり、概して、貝殻・底質色は正の相関関係にあることがわかった。

(2)貝殻・底質色のマッチングがアサリ稚貝の被食確率と生存時間に与える影響を調べるため、予め貝殻色を定量しておいた稚貝貝殻の半殻(内面に軟体部ペーストを塗付)を餌として、魚類クサフグを捕食者として用いた室内実験を実施した。その結果、貝殻色・底質色のマッチングによりアサリ稚貝の被食確率が低下し、「生存」時間が延びることがわかった。このことは、貝殻・底質色のマッチングがアサリ稚貝にとって視覚依存捕食者からの被食リスクの低減に与ることを意味し、稚貝生残における貝殻・底質色マッチング効果の重要性が室内実験によって強く支持された。また、野外調査結果も勘案すれば、底質色と一致しない殻色をもつ稚貝のいくらかが、比較的短期間(1年以下)のうちに、視覚依存捕食者による殻色に基づく選択的捕食圧によって淘汰されていることが考えられた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

上述した通り、アサリ稚貝殻色の隠蔽色としての機能の存在が野外調査・室内実験によって明らかにされた。アサリ漁場管理における投石・覆砂の効果は、これまで、地盤の安定化による稚貝散逸防止効果にその主眼が置かれてきた。一方で、本研究によって得られた知見は、従来のアサリ漁場管理で見落とされてきた“色に基づく”管理という新たな視点を加えるものであり、覆砂等に利用する底質の色(または放流個体の殻色)について現場に即した選定が今後可能になると期待される。また、このような知見は、アサリ殻色にみられる色彩多型が維持される仕組みを理解するうえでも意義があり、生態学上重要な知見であるといえる。また本研究成果は、研究代表者を主著とする投稿論文として、関連する国際学術誌に投稿中である。以上の理由から、本研究課題の進捗状況を、「おおむね順調に進展している」と判断した。

Strategy for Future Research Activity

次年度には、アサリ稚貝の足糸付着基盤としての砂礫底の役割を解明する。ここでは、(1)野外採取するアサリ稚貝の足糸腺の有無を組織学的に観察し、足糸形成個体の特徴を整理するほか、(2)足糸付着基盤に対する選択性を調べるために室内実験を実施する。また、(3)足糸形成が稚貝の洗堀・散逸防止にどのように、またどの程度寄与するのかについても検討する。またこれらの研究と併行して、本年度研究成果の精度を高めるために、貝殻・底質色の関係に関する野外調査も引き続き実施してゆく。

Causes of Carryover

旅費が当初の見込み額よりも安く抑えられたため、次年度使用額が生じた。物品費のうちの消耗品費として使用する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2018 2017

All Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Reproductive cycle of the razor clam Solen gordonis in Sasebo Bay, Kyushu, Japan2017

    • Author(s)
      Seiji Takeuchi, Yuji Ishii, Kazuma Yoshikoshi, Takeshi Takamasu, Saki Nagae and Akio Tamaki
    • Journal Title

      Journal of Shellfish Research

      Volume: 36(3) Pages: 577-584

    • DOI

      10.2983/035.036.0305

    • Peer Reviewed / Int'l Joint Research
  • [Presentation] アサリ稚貝における貝殻色の隠蔽色としての機能2018

    • Author(s)
      竹内清治・鈴木航太・中川太志・玉置昭夫
    • Organizer
      平成30年度日本水産学会春季大会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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