2017 Fiscal Year Research-status Report
海産魚マサバをモデルとした生殖における魚類レプチンの機能解析
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17K15322
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大賀 浩史 九州大学, 農学研究院, 助教 (60792299)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 初回成熟 / 生殖内分泌軸 / 栄養情報 / レプチン |
Outline of Annual Research Achievements |
脂肪組織より分泌されるレプチンは、視床下部へ運ばれ、食欲の抑制および代謝調整や、個体の恒常性の維持に関与するホルモンである。哺乳類においてレプチンにより中枢へ伝えられる情報は、食欲や代謝調節だけではなく、エネルギー貯蔵情報として脳-性腺軸の活性化にも深く関与する。レプチンは魚類においても同定されているが、レプチンによる性機能の制御機構が魚類にも存在するのか、未だ報告がない。本申請課題では、マサバを有用海産魚種のモデルとして、レプチンが性腺軸の活性化に与える影響について、組換えホルモンの作製や細胞組織学的な解析をとおして明らかにする。 平成29年度は、1. マサバLep組換えホルモン(cm-rLepA)の作製、2. レプチン受容体(LepR)の脳内および脳下垂体における局在解析を計画しており、以下の成果を得た。 マサバレプチンの生殖内分泌軸の活性化に与える影響を明らかにするためのツールとして、cm-rLepAの作製を行った。これまでに、大腸菌発現系を用いて十分量のcm-rLepAを得た。作製したcm-rLepAは哺乳類細胞に発現させたマサバレプチン受容体に対して、強いシグナル伝達能を示したことより、十分な生理的活性を有していることが示された。初回成熟過程の飼育マサバより脳下垂体細胞を定期的に採取しており、レプチンの添加が生殖腺刺激ホルモン(GtH)の合成・分泌に与える影響について解析を続けている。 LepRの局在解析については、標的mRNAを特異的に検出可能なRNA probeの作製を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、活性を持つマサバ組換えレプチン-A(cm-rLepA)の作製に成功した。初回成熟発達過程の各生殖腺ステージのマサバより脳下垂体を採取し、初代培養細胞を用いて組換えレプチンの機能解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
マサバ脳下垂体初代培養細胞を用いたcm-rLepAのバイオアッセイを、初回成熟が完了する6月まで継続する。培養液中に放出された生殖腺刺激ホルモンの定量を通して、レプチンの機能推定を行う。 In vivoにおける機能解析においては、脳室内へのレプチンの投与を行うとともに、浸透圧ポンプを用いた長期徐放試験を行う。 また、生殖腺刺激ホルモン産生細胞におけるレプチン受容体の発言の有無を、in situ hybridizatio法を用いて細胞組織学的に明らかにする。
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Causes of Carryover |
組換えレプチンの作製において、当初の見込みよりも高収量となったため、試薬の使用量を少なくすることができた。次年度使用分については、作製した組換えレプチンを用いた各種機能解析における測定試薬類や備品類および成果発表を目的とした旅費への執行を計画している。
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