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2018 Fiscal Year Research-status Report

ヒトデ幼生のマクロファージ遊走阻止因子による炎症制御機構の解明

Research Project

Project/Area Number 17K15324
Research InstitutionKeio University

Principal Investigator

古川 亮平  慶應義塾大学, 文学部(日吉), 助教 (90458951)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords比較免疫 / 棘皮動物ヒトデ / 幼生 / サイトカイン / 細胞行動 / シグナル経路
Outline of Annual Research Achievements

最も原始的なサイトカインの一つと考えられているマクロファージ遊走阻止因子(Macrophage m igration Inhibitory Factor: MIF)は、進化的に保存された炎症反応のキーレギュレーターである可能性が指摘されている。一方で、進化的に保存された受容体は同定されていない。代表者はこれまで 、棘皮動物ヒトデの幼生の免疫細胞から2種のMIFを同定し、両者がそれぞれ走化性因子(ApMIF2)、走化性阻止因子(ApMIF1)として免疫細胞の移動を制御していることを明らかにした。本研究ではこの先行研究を基盤とし、進化的に保存されたMIF受容体とその下流シグナルの同定を目的としている。
昨年度、ヒトデの幼生において、MIF刺激後の免疫細胞におけるトランスクリプトームの変化を解析し、MIFの下流にはERK/MAPK経路及びPI3K/Akt経路が存在する可能性を示唆した。そこで、これらの経路の阻害剤が、MIF刺激後の免疫細胞の行動にどのような影響が生じるかをin vitroで観察した。通常、ApMIF2刺激により免疫細胞の移動速度は上昇するが、ERK/MAPK経路阻害剤であるU0126存在下では、ApMIF2刺激による移動速度の上昇は全く認められなかった。さらにApMIF2刺激による移動速度の上昇を抑制するApMIF1の作用は、PI3K阻害剤であるLY294002存在下では認められなかった。これらの事実から、走化性因子であるApMIF2の下流にはERK/MAPK経路が、走化性阻止因子であるApMIF1の下流にはPI3K/Akt経路が存在していることが示唆された。
受容体探索については、今の所有力な候補は得られていない。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

受容体の探索が当初の計画より難航している。当初の計画では、生理活性を有する融合タンパク質を細胞表面の受容体に架橋し、融合タンパク質のタグに対するアフィニティクロマトグラフィーで受容体を抽出する予定であったが、融合タンパク質が単独で多量体を形成することが明らかとなり、ウエスタンブロットによる複合体検出が困難だった。今年度はアプローチを変更し、ビオチンラベル転移化合物を用いた光反応架橋を試み、受容体を直接ビオチンラベルすることを目指したが、今の所有力なデータは得られていない。
一方、下流シグナルの探索については順調に進んでいる。

Strategy for Future Research Activity

MIFの下流にERK/MAPK経路とPI3K/Akt経路が存在することが示唆されたため、今後はMIF刺激により、これらのキナーゼの活性化が実際に生じるかをウエスタンブロットで詳細に解析する予定である。
受容体の探索については、これまで様々な方法を試したがうまくいっていない。この理由として、細胞表面の受容体の発現量がウエスタンブロットの検出限界を下回っている可能性を考えている。そこで、今後はアプローチを変更し、酵母Two-Hybrid(Y2H)法での探索に切り替える。Y2H法であれば、ライブラリー作製時にPCRでの増幅過程があるため、ある程度発現量が低い遺伝子であっても、MIFとの相互作用が検出される可能性は高い。

Causes of Carryover

受容体探索のアプローチを、架橋剤を用いたアフィニティクロマトグラフィーから酵母Two-Hybrid(Y2H)法に変更するに当たり、消耗品の使用に関して変更が生じたため。次年度使用額は、Y2H法の消耗品に使用する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2018

All Presentation (1 results) Book (1 results)

  • [Presentation] ヒトデ幼生のマクロファージ遊走阻止因子下流シグナルの探索2018

    • Author(s)
      古川亮平、諸橋和紀、金子洋之
    • Organizer
      日本比較免疫学会 第30回学術集会
  • [Book] Echinodermata: The Complex Immune System in Echinoderms. In “Advances in Comparative Immunology”, EL Cooper, ed.2018

    • Author(s)
      Smith, LC., Arriza, V., Barela Hudgell, MA., Barone, G., Bodnar, AG., Buckley, KM., Cunsolo, V., Dheilly, N., Franchi, N., Fugmann, SD., Furukawa, R., Garcia-Arraras, J., Henson, JH., Hibino, T., Irons, ZH., Li, C., Lun, CM., Majeske, AJ., Oren, M., Pagliara, P. et al.
    • Total Pages
      1048 (409-501)
    • Publisher
      Springer Publisher

URL: 

Published: 2019-12-27  

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