2017 Fiscal Year Research-status Report
Identification of transporters driving nutrient uptake in marine diatoms
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17K15326
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| Research Institution | Kwansei Gakuin University |
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Principal Investigator |
辻 敬典 関西学院大学, 理工学部, 助教 (40728268)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | 珪藻 / 光合成 / 栄養塩取り込み / ナトリウムポンプ |
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| Outline of Annual Research Achievements |
珪藻は、海洋の主要植物プランクトンであり、地球上の光合成一次生産の約20％を担っている。珪藻の光合成により、海水中の溶存無機炭素および無機栄養塩類が有機物へと変換され、動物プランクトンや高次消費者の栄養源として供給される。そのため、海洋性珪藻による無機栄養塩の取り込みと同化は、海洋における物質循環を駆動する原動力となっている。
これまでに海洋性珪藻では、細胞内外のナトリウムイオンの濃度勾配を駆動力として無機炭素や各種栄養塩を取り込むことが報告されている。ナトリウムイオンの濃度勾配を維持するためには、絶えず流入してくるナトリウムイオンを排出するためのエネルギー依存型ナトリウムポンプが必要である。本研究では、珪藻における栄養塩取り込み機構を解明するために、栄養塩取り込みの駆動力を生み出すナトリウムポンプを同定することを目的とした。
海洋性珪藻Phaeodactylum tricornutumでは、光合成に必要な無機炭素（重炭酸イオン）を、ナトリウムとの共輸送により取り込むことが報告されている。そのため、ナトリウムポンプの働きを阻害することで、光合成に必要な重炭酸イオンを取り込めなくなり、光合成活性が低下すると予測される。そこで、既知の様々なタイプのナトリウムポンプ阻害剤が珪藻の光合成活性に与える影響を調べ、どのタイプのナトリウムポンプが珪藻で機能するかを絞り込む実験を行った。その結果、P型ATPaseの阻害剤として知られるオルトバナジン酸の添加により、低い無機炭素濃度領域での光合成が阻害されることを確認した。この結果から、珪藻ではP型ATPaseに属するナトリウムポンプが細胞内外のナトリウム濃度勾配の維持に寄与していることが示唆された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
阻害剤実験により、P型ATPaseに属する輸送体が細胞内外のナトリウムイオン勾配の維持に寄与することが示唆された。阻害剤添加時の細胞内のナトリウム濃度を調べるために、細胞膜透過型ナトリウムインジケーターであるSodium greenを用い、細胞内ナトリウムイオン濃度の定量化を試みた。しかし、Sodium greenが細胞内に入っていかず、ナトリウム依存的な蛍光は見られなかった。界面活性剤の添加などのSodium green染色の条件検討を行ったため、予定よりも若干進行が遅れた。
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| Strategy for Future Research Activity |
阻害剤実験により、候補となるナトリウムポンプはP型ATPaseであることが示唆された。珪藻ゲノムデータベースより、細胞膜局在と推測されるP型ATPaseの遺伝子が複数存在することを見出したため、異なる塩濃度の培地で培養した珪藻における各候補遺伝子の発現量解析を行うことで、さらに候補を絞り込む。そして、ターゲット遺伝子の働きをゲノム編集およびRNAiによりノックアウト・ノックダウンした形質転換体を作出する。得られた形質転換体における無機炭素取り込み活性や、その他栄養塩の取り込み活性を測定することで、栄養塩取り込みに寄与するナトリウムポンプを同定する。また、ノックアウト・ノックダウン体における細胞内ナトリウム濃度の測定が必要だが、本年度はSodium greenによる細胞内ナトリウム濃度の測定が出来なかったため、Sodium green以外のナトリウムインジケーターや別の手法でのナトリウム濃度定量化を試みる予定である。
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| Causes of Carryover |
Sodium greenを用いた細胞内ナトリウム定量の実験に遅れが生じ、発現量解析など一部の実験を次年度へと延期したために次年度使用額が生じた。当該予算については、延期した発現量解析などの実験に用いる予定である。
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Research Products
(14 results)
