2018 Fiscal Year Research-status Report
生態系保全型農業の成立条件の検証と導入モデルの開発
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17K15334
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
大石 卓史 近畿大学, 農学部, 准教授 (00555667)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生態系保全型農業 / 環境保全型農業 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国において、生態系保全型農業に取り組んでいる農業者を対象に、訪問形式のインタビュー調査を行った。生態系保全型農業の取り組みを開始した経緯やこれまでの展開等に加え、冬期湛水のための水利の状況、関連する農産物の販売状況等について把握を行った。 一般消費者を対象としたインターネットアンケート調査を実施した。その結果、現時点では、生態系保全型農業関連の農産物の購入経験を有する者は少ない(1割程度)ものの、今後の購入意向については、多くの回答者がポジティブな意向を示していることを明らかにした(2割強の回答者が購入単価の向上を許容する結果となった)。また、生態系保全型農業関連の情報提供(生態系保全型農業により期待される効果、生態系保全型農業の課題や今後の展望等)を追加で行うことにより、回答者の一部は購入意向をより高める可能性があることを明らかにした。あわせて、今後、生態系保全型農業の取り組みを広げていくために優先すべき方法については、「農産物の生産技術の向上(生産量の増加、生産コストの低下、食味の改善 等)」「消費者への普及啓発・認知度向上、消費者による取り組みの支持(農産物の購入、農業者との交流 等)」「生態系や生きものの保全技術の向上」の選択割合が高い(約4割~5割)ことを明らかにした。 以上のような今年度の研究結果や過年度のアンケート調査やインタビュー調査の結果等を踏まえつつ、今後の重点調査対象として、稲作・水田作を選定とすることとした。 あわせて、生態系保全型農業の成立条件の検証については、環境面、経済面、社会面、それぞれの項目づくりに着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
農業者等へのインタビュー調査や、一般消費者へのアンケート調査等、事前に想定していた各種調査を実施した。また、生態系保全型農業の成立条件の検証については、環境面、経済面、社会面、それぞれの項目づくりに着手した。このことから、概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度までの研究成果を踏まえ、今後の研究を推進する。農業者等を対象としたインタビュー調査に加え、追加情報を得るためのアンケート調査等についても適宜、企画・実施を検討する。あわせて、生態系保全型農業の成立条件の検証や導入モデルの開発についても、鋭意進めることとする。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査の対象候補者の都合で、平成30年度内に調査を実施できないケースがみられたことが一因である。その分のインタビュー調査についても、適宜、次年度内に実施することで、研究に必要な情報収集・分析に務めることとする。
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