2018 Fiscal Year Research-status Report
生物多様性保全型技術の導入動機形成と意思決定過程に関する実証分析
Project/Area Number |
17K15336
|
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
上西 良廣 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食農ビジネス推進センター, 研究員 (60783248)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 技術普及 / 動機形成 / 意思決定 / 生物多様性 / 環境保全 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、環境保全や生物多様性の維持に資する技術(「以下、生物多様性保全型技術」)の速やかな普及に向けて、効果的かつ効率的な普及方法を提示することを最終的な目的としている。具体的には、新技術導入の導入動機や意思決定過程に注目して分析する。このような知見によって、これから新技術を普及しようとする地域や、普及が順調に進んでいない地域の関係者に対して、技術普及に関わる取組を円滑に進めるための具体的な方策を提案できると思われる。 平成30年度は当初の研究計画通りに「朱鷺と暮らす郷認証米」(トキ米)の普及を図っている新潟県佐渡市において、農業者を対象としたアンケートを実施した。JA佐渡の協力により、JA管内の全農業者である約3,300名にアンケートを配布した。回収したアンケートは、技術導入に関する試行段階と確認段階の意思決定、さらに中断、非導入の要因にも注目して分析した。 まずトキ米の導入者の導入動機を分析した結果、先行導入者は主にシンボルである生物への貢献や環境保全などの側面に価値を見出して技術を導入したが、それに続く後発導入者は農業所得の向上など主に経済的な側面に価値を見出して技術を導入していた。また、中断者を分析した結果、技術導入の中断を阻止するためには、技術に関する研修会の開催や、高い精算金の実現などが有効であると考えられる。最後に、非導入者の分析から、新規導入者を確保するにあたっては、栽培技術の説明会を毎年開催することが有効であると考えられる。 以上の結果を踏まえて平成31年度は、「生物多様性保全型技術」の効果的かつ効率的な普及方法を提示する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の「研究計画・研究内容」にそって調査・研究が進展している。具体的には、平成30年度に計画していた対象技術の導入者と非導入者を対象としたアンケート調査を実施し、アンケートの回収と分析を進めることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は最終年度であるため、前年度までの研究成果のとりまとめと、「生物多様性保全型技術」の効果的かつ効率的な普及方法を提示する。具体的には、どういう生産者に、どういう情報を、どういう方法で広めたら良いのか等ということを検討し、提示する。
|
Causes of Carryover |
アンケートの回答者に渡す調査協力謝金を計上していたが、配布数が想定したよりも極めて多くなったため、謝金を支払わないこととしたため、次年度使用額が生じました。この助成金に関しては、アンケートの分析結果を現場にフィードバックするため、現地を複数回訪問することで、使用する予定である。
|
Research Products
(4 results)