2020 Fiscal Year Research-status Report
生物多様性保全型技術の導入動機形成と意思決定過程に関する実証分析
Project/Area Number |
17K15336
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
上西 良廣 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 本部, 研究員 (60783248)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 技術普及 / 動機形成 / 意思決定 / 生物多様性 / 環境保全 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、農業分野におけるSDGs(持続可能な開発目標)達成に向けて、生物多様性保全型農法(環境保全や生物多様性の維持に貢献しつつ、絶滅の危険性がある生物の個体数の維持・増加を目的とした栽培技術体系)を速やかに普及させるため、「生きものブランド米」を対象に、普及センターや農協などの普及主体が地域の農業者にどのような働きかけを行うか等の実践的・体系的な普及方法を提示することを目的としている。 新潟県佐渡市の「朱鷺と暮らす郷認証米」の導入動機や中断理由、非導入の理由等をアンケート調査によって分析した結果、先行導入者は後発導入者と比較して、シンボルであるトキへの貢献に価値を見出していたことがわかった。また、中断者の主な中断理由は、農法導入に伴う冬期湛水等の作業の増加や経済的要因(一般米との価格差が小さい)が主であったが、高齢化に伴う営農継続の不安や書類作成の負担感から、認証要件であるエコファーマーの再申請を断念した者が見られた。さらに、技術的要因(冬期湛水による春作業への悪影響)により中断した者もいたが、実際には冬期湛水以外の取り組みへの変更で「トキ農法」は継続でき、さらに非導入者の一部にも同じ理由を挙げる者がいたことから、認証要件等についての継続的かつ正確な情報提供の取り組みが重要であることが示された。 これまでに兵庫県豊岡市の「コウノトリ育むお米」と新潟県佐渡市の「朱鷺と暮らす郷認証米」を対象とした分析結果を比較し、生物多様性保全型農法の効果的な普及方法を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の感染拡大により、当初予定していた現地調査を実施できなかった。今年度は新型コロナウィルス感染症の感染拡大状況によっては、現地調査を実施する予定であるが、困難な場合はオンラインインタビュー等によって追加的にデータを収集する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
兵庫県豊岡市と新潟県佐渡市で農業者を対象としたアンケート調査の分析は完了しているため、これまでの研究成果を取り纏めて、「生物多様性保全型農法」の効果的かつ効率的な普及方法を提示する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大により、当初予定していた現地調査が実施できなかった。今年度は新型コロナウィルスの感染拡大状況によっては、現地調査を実施する予定である。
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Research Products
(1 results)