2019 Fiscal Year Research-status Report
農民グループ・ネットワークをとおしたイノベーション普及に関する実証的研究
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17K15339
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
黒崎 龍悟 高崎経済大学, 経済学部, 准教授 (90512236)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 農民グループ / タンザニア / ネットワーク / 普及 / イノベーション / ボトムアップ |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度の成果から、調査対象としたMVIWATAがイノベーション普及で目立った動きを見せないのは、目的が似通った住民組織が各行政レベルにおいて乱立しているためであることが考えられた。このことから、申請時の「農民発のイノベーションが普及事業に接合するための諸条件について理解する」という問題関心に立ち返りつつ、昨年度は調査方針を転換し、MVIWATAにこだわらずに、どのような形態の住民組織のところで農民発のイノベーションが発生し、広がりを持ちうるのかを明らかにすることを主要な課題とした。そこで、近年地域で存在感を増している小規模なマイクロファイナンス組織VICOBA(Village Community Bank)のグループへと調査対象を切り替えた。VICOBAは小規模なマイクロファイナンス組織として、活動の柱である資本の確保・増大に力をいれながらも、副次的に新たな技術習得の機会がもたれている点に注目した。この点についてデータを集積したので論文作成を進めている。 なお、年2回のペース開催されている研究会は、8月に開催し、また2020年2月に開催を予定していたものの、新型コロナウイルスの影響によって中止となった。また同様の理由で追加的なデータ収集を予定していた2020年3月の渡航も急遽延期としたため、研究期間を一年延長することになった。 成果発表については、7月に民族自然誌研究会において、タンザニアで観察してきた環境保全やエネルギー利用に関する草の根のイノベーションに関する研究報告をおこなった。また、社会への発信として、大学主催の市民向け公開講座において、東アフリカにおいて技術普及が難しい要因について、とくに社会的文化的背景について触れながら報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画に変更が生じ、論文の作成が遅れているため。しかし、具体的な事例をもって本研究の核心部分である住民主体のイノベーションの発生と広域への展開という点について、より重要な知見を得られることが期待できる。また、新型コロナウイルスの影響を受けて一部の研究活動は延期となったものの、国内研究会への参加・発表、現地調査を実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
延期になっている現地調査を実施して補足的なデータを得るとともに、農民グループ、住民組織に関する文献を、その多機能性という観点から改めて収集・分析し、まとめとしての論文の仕上げにつなげていく。外務省やJICA現地事務所、現地大学の教員などから調査対象地の詳細な情報をできるだけ収集しながら渡航のタイミングを考えていくが、万一、渡航の条件が整わない場合は、国際電話、メール等によって可能なデータの獲得に最大限努めて研究内容の総括につなげていく。また、研究会の実施が可能となる状況になれば、すみやかに実施し、データ分析に関する助言を得るほか、他の研究者がもつ新たな情報を取り入れていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で研究会と現地調査が中止・延期になったことによる。渡航の条件が整い次第、現地調査によって使用する予定である。
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