農山村の地域づくりに参画する外部人材のコンピテンシーの解明

2017 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 17K15341
• Research Institution: National Agriculture and Food Research Organization
• Principal Investigator: 房安 功太郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 本部 人事部, 研究員 (90738957)
• Project Period (FY): 2017-04-01 – 2020-03-31
• Keywords: 外部人材 / コンピテンシー

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、農山村の地域づくりに参画する外部人材のコンピテンシーの解明を目的とする。今年度は、研究対象とする外部人材の種類を1)地域サポート人材導入政策における外部人材、2)農業法人に従事する外部人材とすることを決定し、それぞれ以下の内容を実施した。
1)既存研究をレビューし、技術者、管理者など職種別の一般的コンピテンシーを整理した。その上で、地域おこし協力隊制度を導入する中山間地の1自治体を対象に、自治体職員へのヒアリング調査を実施した。複数の地域について当該制度の実施状況を把握するとともに、地域課題の解決等において特に優れた実績をあげている外部人材を抽出し、それらの個人について(自治体職員が)優れた実績をあげる要因になったと考える特性(スキル、知識、性格等）を把握した。さらに、この結果と既存研究から整理した職種別の一般的コンピテンシーを比較することで、調査対象とした外部人材に特有の性質と、一般的コンピテンシーと共通する性質に分類した。
2)全国の農業法人の経営内容(生産品目、規模、労働力、外部人材等）や売上等経営成果に関する10年間のデータを入手し、個々の経営ごとに10年間のデータを接続することで、全国の農業法人の経営内容と経営成果の関係等を時系列で分析可能なパネルデータを作成した。これにより、売り上げ高等を指標として特に優れた実績をあげている経営の特徴を営農類型別に明らかにすることや、外部人材の導入との関係等を分析可能になる。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

1)地域サポート人材導入政策における外部人材、2)農業法人に従事する外部人材を研究対象とし、1)については予定していた現地調査を実施し地域づくりの進展状況や外部人材の賦存状況を把握した。さらに、次年度に予定していた既存研究のレビューによる一般的コンピテンシーの整理と、外部人材のコンピテンシーとして想定される事項の把握にまで着手した。2）については予定していた現地調査を実施しなかったが、全国の農業法人の経営に関する10年間のデータを入手しパネルデータを作成した。これにより現地調査の対象とする地域や経営の抽出など今後の研究を効果的かつ効率的に行う基盤を構築した。以上から、全体としておおむね順調に進展している。

Strategy for Future Research Activity

1)については、優れた実績をあげている外部人材に対する聞き取り調査を実施し、行動結果面接法（ＢＥＩ）等により、実際の行動として観測可能な表層コンピテンシー（スキル、知識等）を計測する。
2)については、全国の農業法人を対象に、売上高や経営規模を指標として経営成果の経年変化及び経営内容との関係を特に外部人材の導入に着目して分析する。その結果から、特に高い経営成果をあげている、また経営成果に外部人材の導入が影響していると見られる経営タイプを明らかにし、詳細な現地調査を行う対象を決定する。

Causes of Carryover

全国の農業法人の経営実態に関するデータを入手できたため、予定していた現地調査の経費等を削減できた。次年度使用額は予定している調査・分析に使用する。