2018 Fiscal Year Research-status Report
小規模閉鎖水域におけるアオコ発生予測および藍藻類短期挙動モデルによる制御法の検討
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17K15342
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
濱上 邦彦 岩手大学, 農学部, 准教授 (20571699)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アオコ / 栄養塩類 / 藍藻類 / 現地観測 / 群体 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度研究ではため池において短期的な藍藻類の挙動について知見を得ることを目的とし,主に水理学的要因や栄養塩分布に着目して検討を進めた.その結果,栄養塩分布と藍藻の挙動に明確な相関は示されず,水温成層場の形成・消失過程が支配的であること,また群体の大きさが移動速度に影響を及ぼすことが示された.そこで,今年度は藍藻類の鉛直移動速度は群体の大きさにより異なるという点に着目し,藍藻類の群体面積および細胞数を実際に計測して群体形成と鉛直分布特性の関係性を検討した. その結果,蛍光光度計により計測した藍藻分布が夕方から早朝にかけて密度成層付近に停滞し,朝方急上昇,その後降下してまた停滞することを示した.顕微鏡から得た分布でも,朝方に上昇して時間の経過とともに降下し,また上昇するという傾向が示された.また,細胞数の最大値が時間帯によって大きく異なることを示した.群体が一次元的な鉛直移動をしているのであれば大きな差異がないはずであることから,群体は単純な鉛直移動をしているのではなく三次元的な動きをしていることが考えられる. 群体の面積と鉛直分布について検討するために,群体の平均面積と細胞数の関係について検討した.その結果,細胞数が多い水深では群体面積も大きいことが読み取れる一方,細胞数が多い水深での群体面積には大きな差がある結果となった.この結果から,藍藻の群体は概ね水中で拡散することなく移動するが,特に細胞数が多くなる表層部分では凝集しさらに大きな群体を形成していることが推察された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アオコの挙動モデルを作成する上で重要となる,その移動形態について詳細に検討するために,本年度は藍藻類の鉛直移動速度は群体の大きさにより異なるという点に着目し、藍藻類の群体面積および細胞数を実際に計測して群体形成と鉛直分布特性の関係性を検討した。その結果,群体の大きさが藍藻類の移動速度に影響を及ぼすこと,さらには,藍藻の群体は概ね水中で拡散することなく移動するが,特に細胞数が多くなる表層部分では凝集しさらに大きな群体を形成している可能性があることを示した.この結果は藍藻類の挙動モデルを作成する上で大変重要なデータとなる.現在作成中の低次生態系モデルにおいては植物プランクトンの挙動を考慮出来ておらず,今後は藻類の分離と藍藻の挙動モデルを組み込むために,水槽実験も用いた挙動モデルを検討することで日サイクルでのプランクトン挙動を予測するモデルに発展させることができると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究によりアオコの挙動モデルを作成する上で重要となる,その移動形態について藍藻類の鉛直移動速度と群体の大きさの関係について,その大まかな傾向をとらえることができた.この結果は藍藻類の挙動モデルを作成する上で大変重要なデータとなる.そこで,今後の研究方針として,水槽実験を用いたアオコの挙動のモデル化を行い,また水質モデルとしての低次生態系モデルへの適用を目指す.現段階では低次生態系モデルで植物プランクトンの挙動を考慮出来ておらず,藻類の分離と藍藻の挙動モデルを組み込むために,水槽実験も用いた挙動モデルを検討することで日サイクルでのプランクトン挙動を予測するモデルに発展させることができると考えられる.春~初夏に実験水槽を作成し,夏~秋にかけて実験を行う.並行して水質予測モデルの改良も行い,モデル化した藍藻類の挙動モデルを水質予測モデルへと適用する.
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Research Products
(2 results)