2020 Fiscal Year Research-status Report
Understanding of soil physics phenomena of Imogolite-humic substances complex from a standpoint of colloid and interface science
Project/Area Number |
17K15343
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山下 祐司 筑波大学, 生命環境系, 助教 (30543227)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イモゴライト / 腐植物質 / 火山灰土壌 / 凝集 / コロイド安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,火山灰土壌に広く分布し、かつ、近年ではナノマテリアルとして注目されている中空繊維状粘土鉱物であるイモゴライトと、土壌中に普遍的に存在する腐植物質とで形成される粘土-腐植複合体の性質を明らかにすることである。すなわち、イモゴライトへの腐植物質の吸着挙動,次いでイモゴライトと腐植物質の複合体の表面荷電特性と濡れ性,さらに複合体懸濁液の凝集分散特性とレオロジー特性を実証的に解明することで,有機物を含む火山灰土壌の理工学的性質を界面科学的観点から包括的に整理することで ある。
イモゴライトは酸性条件で分散,中性からアルカリ条件で凝集沈降することは広く知られているものの、コロイド安定性の重要因子である塩濃度依存性が明らかにされていなかった。そこで昨年度、塩濃度とpHを系統的に変化させた溶液条件におけるイモゴライトの凝集分散判定および凝集領域における沈降挙動を評価した。その結果,イモゴライトの凝集状態と分散状態の境目となるpH(以下、臨界凝集pH)は塩濃度が増加するにしたがって減少することを見出した。これらの結果は、コロイド安定性を記述するDLVO(Derjaguin-Landau-Verway-Overbeek)理論と定性的に整合することは確認できたものの、定量的な解析には至っていなかった。そこで本年度は、繊維状鉱物に適合できる帯電挙動モデルおよびDLVO理論の情報収集を行うとともに、これら物理モデルに基づくコンピュータシミュレーションをおこなうためのプログラミングコードの準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自然災害(感染症の流行等)により、予定していた研究発表や実験がおこなえなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後,準備されたシミュレーションコードにしたがって、コロイド安定性理論を用いた実験結果の解析を進め、イモゴライトの凝集分散状態の支配因子を明らかにするとともに、メカニズム解明に取り組む。さらに、イモゴライトそのものの解析結果に基づいて、腐植物質添加による影響の解析を進める。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、自然災害(感染症の流行等)により、昨年度の計画が遂行されなかったためである。今年度の使用計画は以下の通りである。標準腐植物質試料を含む試薬や測定セル等実験器具の消耗品として物品を購入する。また、成果発表の論文投稿における英文校閲やオープンアクセスのための費用、学会参加費用に充てる。
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