2018 Fiscal Year Research-status Report
Environment control to prevent disorders in tomato fruits: Effects of controlling inlet fluid into fruits
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17K15350
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤内 直道 筑波大学, 生命環境系, 助教 (90791210)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 根域温度 / 蒸散 / 尻腐れ果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,太陽光利用型植物栽培施設でのトマト栽培における生産性向上のために,裂果や尻腐れ果に代表される障害果の発生を防ぐ環境調節のための基礎的知見を提供することである。トマト果実への液流速度の制御が裂果・尻腐れ果発生防止の鍵であるとの仮説を検証するために,長・短期的な根域温度調節を組み合わせて根の吸液速度を制御する実験によって,果実への液流入速度と裂果・尻腐れ果発生率の関係を明らかにする。平成30年度は,尻腐れ果が発生しやすい培養液を用いた上で根域温度が異なる試験区を設定し,開花果房が着生しているトマトを夏季に約1ヶ月間栽培して尻腐れ果発生率を調べた。 仮説と異なり,果実への液流入が促進されるような根域温度では尻腐れ果発生率が高かった。日中の根域温度が約20℃の試験区では,日中の根域温度が約30℃の試験区と比較して,全果実数,果実肥大速度,および尻腐れ果率が高かった。根域温度20℃区では全果実数および果実肥大速度が高かったことから果実への液流入は促進されていたと推察するが,このことが尻腐れ果発生に正の影響を及ぼしたといえる。果実への液流入を促進するような環境調節を実施するだけでは尻腐れ果発生率を増加することもあり得ることが明らかとなった。 根域温度20℃区では植物体当たりの葉面積が大きかったように見受けられた。根域温度20℃区では植物体当たりの蒸散量が高かったことが尻腐れ果発生に正の影響を及ぼし,果実への液流入促進が尻腐れ果発生に及ぼす負の影響を上回ったのかもしれない。葉面積および単位葉面積あたりの蒸散速度の経日変化を調べ,果実発達や障害果発生率との関係を分析し始めた。平成31年度は葉の特性を調べるとともに,栽培方式をNFTからDFTに変更して根の特性を調べやすくする計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
仮説と異なる結果となり,当初計画していなかった葉の特性調査を行う必要が生じたため。平成31年度に根・葉・果実特性と障害果発生率の関係を明らかにする。
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Strategy for Future Research Activity |
DFT式の栽培装置を増設し,試験回数を加速する。
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Causes of Carryover |
仮説と異なる実験結果となったため計画を見直した。植物体各器官の水ポテンシャルなどの特性を測定する必要があり,それには試験期間延長が必要であった。次年度使用額はその測定に必要な物品の購入にあてる。
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