2017 Fiscal Year Research-status Report
植物中の多元素動態を同時に追跡するRI・蛍光マルチライブイメージングの開発
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17K15355
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉田 亮平 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (60724747)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | RIイメージング / 蛍光イメージング / 植物 / 栄養元素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究者は、植物体内において、養分元素がどのような経路および化学形態で輸送され、どのようなメカニズムにより分配・蓄積が制御されているかを明らかにすることを研究の最終目標としている。本研究では、詳細な元素動態の解明を目的としたRI および蛍光を用いたマルチライブイメージング技術の開発を目的としている。具体的には、本研究者らが開発しているRI ライブイメージング装置:RRISにおいて、蛍光イメージングおよびRIイメージングを同時に行える新たな装置を開発することである。RRISは視野が異なる二つの装置を開発している。一つ目は、視野範囲が10 x 20 cm、二つ目は顕微鏡視野での撮影が可能である。一方で、顕微鏡RRISは、視野範囲が数mm2程度である。そこで、平成29年度は、蛍光イメージングを可能とする顕微鏡を用いて、視野範囲を20 x 20 cm程度に拡大を目指した。撮影に用いるカメラ等の検討や試行を行った結果、実体顕微鏡を元に新たな装置を開発することが最も適することがわかった。 つぎに、RIイメージングを行う際に、放射線を光に変換するシンチレータの探索を行った。これまで顕微鏡RRISでは1.5 cm2のシンチレータを用いて撮影を行ってきた。広範囲における可視化を行うには、大きなサイズのシンチレータを用いる必要がある。しかしながら、これまで用いてきたシンチレータは非常に高価であり、さらには浸水に弱い。一方で、本研究では、植物根や菌類を対象としている。そのため、イメージングの際には水耕液やゲル上にシンチレータを設置する必要があり、シンチレータの破損リスクがあった。このような問題から新たなシンチレータを探索する必要があった。そこで、様々なプラスチック製のシンチレータにおける性能評価を行った結果、安価に、かつ大型化が容易な素材を見つけることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
顕微鏡RRISの視野範囲拡大に伴い、放射線を光に変換する素材(シンチレータ)を大型化が必要であり、かつ手軽に使えるよう安価で製作することが本研究において不可欠である。様々な素材のシンチレータを用いて実験を行った結果、プラスチック製のシンチレータが適することがわかった。つぎに、厚さや材質の異なるプラスチックシンチレータを用いて、RIの検出感度や解像度等の性能評価を行い、RRISに最も適する素材を見つけることができた。現在は、メーカーとの共同研究を行うことで、さらなる発展を目指している。これらの成果は現在、国際論文にまとめているところであり、投稿中である。 また、本研究で可視化を行う元素のうち、炭素を最も重要視している。特に二酸化炭素の光合成により生成された光合成産物の動態をイメージングしたい。一方で、二酸化炭素はガス状である故、取扱いが難しい。これまでの研究においても、二酸化炭素(14CO2)を扱っていたが、より安定的に実験に用いれるよう、実験系を改良した。これらの結果も国際論文にまとめているところであり、現在投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度では、H29年度で構築してきた顕微鏡RRISの開発を続けるとともに、RIイメージングと蛍光イメージングの撮影に関わる制御方法を構築する予定である。その上で、蛍光タンパク質でラベルした形質転換組み換え株や蛍光試薬を投与した植物を用いて、RIイメージングと蛍光イメージングを行う予定である。
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Causes of Carryover |
H29年度において、蛍光イメージングを行うための試行錯誤に様々な機器を購入する予定であったが、デモ機を使う等、さらには、シンチレータをプラスチック製に代替したことで出費を大きく抑えることができた。そこで、当初計画において、予算的に購入ができなかったフィルター等に使用することで、新たに開発している装置の機能を強化する予定である。
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Research Products
(3 results)