2018 Fiscal Year Research-status Report
植物中の多元素動態を同時に追跡するRI・蛍光マルチライブイメージングの開発
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17K15355
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉田 亮平 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (60724747)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | RIイメージング / 蛍光イメージング / 放射線計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
生きたままの植物体内における物質動態を可視化できるリアルタイムRIイメージングシステム(RRIS)の撮像原理は、植物が吸収したRIから放出される放射線をシンチレータにより光に変換し、CCDカメラでその光を検出するものである。シンチレーション光は非常に微弱なため、暗箱を用いた撮影を行っている。一方で植物の生育には光が必要である。そこで照明の点灯・消灯を繰り返し、消灯の間においてのみ撮影を行うパルス照射システムを用いてきた。ただし、植物へのRI投与量が少ない等、得られるシグナル量が少ない場合、撮影の積算時間を長く設ける必要があり、それに伴い消灯時間の割合が増す。また、元素の移動が早い場合では単位時間の撮影枚数を増やす必要があり、数分単位で照明の点灯、消灯を繰り返すことになる。これらは植物に大きなストレスを与えていることが考えられる。さらには、本研究目的であるRIイメージングと蛍光イメージングの両立には、より細かな照明の制御が必要である。そこで植物が消灯を認識できない周期でパルス照射を行い、消灯に同期したCCDカメラによるパルス撮影を行うことで、植物にとっての明期を維持したままシンチレーション光の撮影が可能な装置の構築を試みた。今回使用した高感度EMCCDカメラ(iXon Ultra 888)には、外部トリガ端子にTTLレベル信号が印加されている間だけ画像信号を積算し、複数回の積算結果を1枚の画像として保存する間欠撮影機能がある。そこでカメラの間欠撮影とLEDによる間欠照明を同期させるため、市販のマイコンボード(Arduino Uno R3)を用い、ms単位の任意の周期でLED駆動回路のON-OFFと撮影トリガ信号のON-OFFを交互に行う電子回路を作成した。この回路で高感度カメラとLED照明を接続し、標準線源に密着させたシンチレーターの撮影試験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々な周期での撮影を行った結果、250 ms周期での撮影に成功した。これにより、蛍光イメージングにおける露光時間に十分耐えうる光照射の制御が可能である。一方で、200 msより短い周期ではノイズの発生により正常な画像が得られなかった。今回採用したEMCCDカメラの使用上の撮影速度上限は、20 msである。また、個々のLEDおよびLED駆動回路のON/OFFに使用しているMOSFETは、一般的には数十nsの応答速度を持ち、シンチレータとして使用したCsI(Tl)の消光はおよそμsオーダーであることから、理論上は20 ms周期のパルス照明・撮影系の構築が可能である。今後は、ノイズ発生の原因を探索し、より短時間周期での撮影を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
まずノイズの発生源を特定し、つぎにノイズの除去、もしくは軽減対策を行う。ノイズ発生源の可能性としては、CCDカメラの設定、もしくは光源として用いているLEDである。ノイズの対策を行った後に、実際の植物を用いて撮影を行う。さらには、短時間でのパルス照射が植物にどのような影響を与えるのかを検証する。検証項目は、水吸収量、養分吸収量および二酸化炭素吸収量である。
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Causes of Carryover |
蛍光フィルターやLEDの購入を予定していたが、予備実験においては、既に所有しているもので十分検証が可能であったため、購入を見送った。今後のより詳細なフィルターの選定後、購入する予定である。
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Research Products
(3 results)