2017 Fiscal Year Research-status Report
オートファジー制御による高品質なウシ体外胚生産系の開発
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17K15361
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
山中 賢一 佐賀大学, 農学部, 准教授 (40572920)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 胚発生 / オートファジー / リソソーム / ウシ |
Outline of Annual Research Achievements |
ウシ卵母細胞の成熟および胚発生過程におけるオートファジー動態について、免疫染色および遺伝子発現解析により検討を行った。GV期、MII期、1細胞期~胚盤胞期までの卵母細胞または胚のすべてのステージにおいてオートファジー小胞が観察されたが、特に、MII期卵子、9-16細胞期胚、胚盤胞期胚においてオートファジー活性が顕著に高かった。これらの結果のうち、受精後からオートファジー活性が上昇し、初期分割胚でその活性が高まるという点においてはマウスでの報告と一致するものであった。また、発生が遅延している初期分割胚でオートファジー活性の低下が確認されたことから、ウシ胚においてもマウス胚と同様にこの時期のオートファジーの活性化がその後の発生に関与している可能性が示された。一方で、マウスを使った報告では、MII期でオートファイジーが検出されないことから、体外成熟培養の影響や種間での違いを示唆した結果といえる。さらに、ウシでは胚盤胞期胚においても高いオートファジー活性が見られたこともマウスでの報告とは異なる結果であった。ウシでは、透明体脱出後、反芻動物特有の現象である胚の伸張が起こるが、そのような発生過程やその後の着床様式の違いがこのオートファジー動態の違いを生み出している可能性が考えられる。以上の結果から、今年度はほとんど未解明であったウシ初期胚発生過程におけるオートファジー動態を明らかにし、今後の研究推進のための基礎的知見の集積を行うことができた。今後はこれらの知見をもとに、時期特異的なオートファジー阻害および促進を行うことで、これらの意義について明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り研究を推進できたとともに、計画では次年度開始を予定していた実験にもすでに着手することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度得られた知見をもとに、オートファジーを時期特異的に阻害または誘導することでどのような影響があるのかについて明らかにするとともに、最終的には発生能を向上させるための処理条件を決定することを目的とする。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Live births from artificial insemination of microfluidic-sorted bovine spermatozoa characterized by trajectories correlated with fertility2018
Author(s)
Maria Portia B. Nagata, Kenji Endo, Kazuko Ogata, Kenichi Yamanaka, Junki Egashira, Naoto Katafuchi, Tadayuki Yamanouchi, Hideo Matsuda, Yuki Goto, Miki Sakatani, Takuo Hojo, Hirofumi Nishizono, Kenji Yotsushima, Naoki Takenouchi, Yutaka Hashiyada, Kenichi Yamashita
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Journal Title
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
Volume: 115
Pages: 3087-3096
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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